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2017/01/30

#96. アダム・ガリンスキー: はっきり主張できるようになるには




翻訳ウラ話


私はコーチで研究者で学生でもあるので、日々、交渉や提案や相談をしたり、されたりすることが多いです。状況や相手によって自分の発言の自由度が変化することや、そこに力関係が働いていることを感じていたので、この講演を最初に聞いたときには内容がすんなり理解できたように思いました。ところが、翻訳作業に入り一言一句を細かく見ていくと、すっきりしない箇所がちらほら出てきました。感覚的な言葉遣いは魅力的なのですが、残念ながら翻訳する場合、よくわからないまま聞き流すわけにはいきません。その意味では、訳すという行為は無粋なものですね。担当者間で解釈をすり合わせたり、講演者本人に確認をとったりしました。



英語学習のヒント


上述のとおり、この講演者の英語はサラッと聞いたときと、細部までじっくり読み込んだときとで印象が変わります。違いが感じられるかどうか試してみてください。まずは字幕オフで視聴し、その後英語トランスクリプトを読みます。わかったようなわからないような箇所があったら、すぐに訳を見るのではなく、トランスクリプトの該当箇所をクリックして音声を聞いてみてください。「読んでもわからなかったけど、聞いたらなんとなくわかった」という意外な体験ができるかもしれませんよ。自分なりの解釈が合っていたかどうか、最後に日本語訳で確かめることをお忘れなく。

語彙は比較的平易で、構文も全体的にシンプルです。知らない語があったらきちんと辞書で調べ、使えるようにしておいてください。イディオム"step on someone's toes"や、"speak up (for oneself)"、"advocate for"、"put up"、"turn out"、"lean in"などの句動詞の意味と使われ方をしっかり押さえておきましょう。また、"they grant me..."、"it allows us..."のような表現は、多くの学習者にとって、知っていてもなかなか咄嗟には使えないものです。この機会に使い方を盗んでおきましょう。


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アダム・ガリンスキー: はっきり主張できるようになるには

Japanese translation by Reiko Bovee, reviewed by Emi Kamiya

はっきり考えを述べることは、そうすべき時でも難しいものです。社会心理学者アダム・ガリンスキーの賢明な助言から、意見をはっきりと述べ、難しい状況もくぐり抜け、自分自身の力を強化する方法を学びましょう。

(2017/1/29 字幕公開)

2016/11/09

#94. 義務でする交流なんて要らない | キャロライン・ マグロー | TEDxBirminghamSalon



翻訳ウラ話


コーチングセッションの中で「忙しくて学習時間が取れない」「どこから手を付ければいいかわからない」というようなご相談を紐解いていくと、それぞれの「線引き」や「優先順位」の問題につながってくることがあります。限られた時間やエネルギーを、どこにどれだけ使うかは本人次第なのですが、それに気づくのは簡単ではないのかもしれません。こうした講演が、日常生活のちょっとした習慣を変えていくきっかけになればいいなと思います。



英語学習のヒント


この講演で出てくる「owe」や「miss」は、英語としては基本的な部類で非常によく使われる動詞ですが、日本語に訳そうとすると意味がとりにくいものです。そのためか、日本人学習者が発する英語の中ではあまり見かけません。読む・聞くというreceptiveな場面では「なんとなくわかるけど、よくわからない」、書く・話すというproductiveな場面では「使えない」「使うのに勇気が要る」となっているのかもしれませんね。「owe」「miss」の他に、英語では頻出でも日本人にとって使いにくい動詞としてパッと思いつくのは「deserve」「matter」「afford」などでしょうか。

このような動詞をきちんと理解するには、日本語訳と英語の両面から、できるだけ多くの例文に当たることが大切です。まずは辞書を引くことですが、最初に出てきた意味をチラッと見ただけでわかったつもりになってしまうと、このタイプの語は習得できません。語義、例文を丁寧に読み、その語が持つ“守備範囲”をつかみましょう。次に、ターゲットの語が使われている前後の文脈を探します。ネット検索が便利ですが、ターゲットの語単体で探してもうまく行きませんし、「+sentence」のようなキーワードでは文レベルの例しか見つかりません。そこで、辞書で得た情報から、一緒に使われている可能性の高い語を見繕ってキーワードにします。たとえば「owe」なら「+responsibility」「+relation」「+favor」などと合わせて探す、という具合です。どんな語と組み合わせるとよいか考えることで、言語センスも磨かれていきます。


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義務でする交流なんて要らない | キャロライン・ マグロー | TEDxBirminghamSalon

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Riaki Poništ

この短い講演では、ライターのキャロライン・ マグローが、自身が執筆し、大きな反響を得て広まったブログ記事にまつわる問題を語ります。過度に他人とつながりやすい現代社会で、自らのエネルギーを使い果たすことなく、なおも他者に与える方法について、マグローのアイデアを聞いてみましょう。

(2016/11/8 字幕公開)

2016/11/03

#35. 代名詞の秘密 | ジェームズ・ペネベイカー | TEDxAustin



翻訳ウラ話


英語学習者に関わる研究や仕事をしている私にとって、英語の文法、言葉づかい、やりとりの様子などはどれも非常に身近な話題ですが、代名詞の使用頻度から心理や人間関係を解くという視点はとても新鮮で、翻訳を通じて理解を深めたいと思いました。英→日の翻訳では、通常、代名詞は訳出しない方が文として自然になりますし、字幕では文字数に制限があるので省くことが多いのですが、代名詞が主役のこの作品ではそうはいきません。あえて代名詞を逐一訳出しながらも、日本語として意味が通り、かつ読みやすく収まるように工夫しました。



英語学習のヒント


少し早口で聞き取りにくいと感じるかもしれませんが、英語そのものは決して難解ではありません。英語字幕をオンにして、必要なら速度を落とすなどして確認してみてください。日常会話で役に立ちそうな、よく使われる語が多いですから、気になった語を拾って自分のものにしていきましょう。特に、感情や様子を表す形容詞は覚えておくと便利ですよ。

講演の中で説明されている代名詞の特徴は、あなたの書いたメールにも当てはまるでしょうか。講演のもとになっている研究は母語話者を調べていますので、学習者の書く英語に同じ現象があらわれるとは限りません。特に日本人学習者の場合、日本語の影響から代名詞を使う頻度が全体的に低い可能性があります。また、代名詞を使っている場合でも1人称(I, my, me, mine)に偏っている傾向があるかもしれません。さらに、あなたのところに届いた英語母語話者からのメールはどうでしょう。代名詞に着目して頻度や使い方を調べ、気づいたことを書き出してみてください。それから再度自分の書いた英語に戻り、内容を変えないで別の表現ができそうなものがあれば書き直します。書きっぱなしではなく、自分の書きたいことが表現できているか、英語のわかる人にチェックしてもらうようにしましょう。


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代名詞の秘密 | ジェームズ・ペネベイカー | TEDxAustin

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Shoko Takaki

I, You, Me, We, Us などの簡単な語には私たちの人となりや感情を浮き彫りにできるとてつもない力があります。米国最大規模の大学で心理学科長を務めるジェームズ・ペネベイカーは私たちの言葉遣いを詳しく調べ、それがいかに私たちの自己理解や他者とのやりとり、根底にある強さや活力が湧く気持ちを反映し、それらを作り変えるかについて深く掘り下げます。

(2014/8/11 字幕公開)

2016/10/14

#33. ビル・ゲイツとメリンダ・ゲイツ: 富を贈ることが最高の喜び



翻訳ウラ話


あまり積極的に手を出すタイプの作品ではありませんが、某テレビ番組のために急いで字幕を公開する必要があるとのことでお手伝いしました。自分の興味や好みで作品を選んでいるとどうしても食わず嫌いになってしまいがちですが、翻訳チームの一員として貢献するという視点があると、個人的な理由では出会うことのないTalkと関わりを持つことができます。訳にあたり関連記事やゲイツ夫妻の他の講演を聞く機会も得られ、良い勉強になりました。



英語学習のヒント


TEDの中にたまにあるインタビュー形式です。講演と話し方が異なるのは当然ですが、オーディエンスを意識したやりとりという意味で普通の会話とも違います。どこがどのように違うか考えながら聞いてみましょう。また、3人の話し方の違いにも注目してみましょう。

台本のない会話なので、文が途切れたり、言い直したりしているところがありますし、内容も少しわかりにくい部分がありますので、英語の学習には向かないだろうと思います。語彙は専門用語を含め、ところどころに聞き慣れない語が見つかるでしょう。普段触れている英語によっては「普通の会話にしては堅苦しい」と感じる学習者もいるかもしれません。確かに公の場でのインタビューなのでヨソイキなところがまったくないとは言えませんが、知的レベルの高い大人同士の日常会話としては決して特別なタイプのものではありません。会食やパーティーなど、ざっくばらんな雰囲気の中でも洗練された英語を使う必要のある学習者にはとっては、参考になるところがあるでしょう。

11:45あたりから、自然な会話らしいおもしろさが生じています。字幕では字数制限の都合もあり、残念ながら補足ができていませんので、それを逆手に取って、行間を読む練習問題にしてしまいましょう。ビルが何を言っているのか、メリンダがそれをどう解釈し、どういう食い違いが起きているか、考えてみてください。こういうアクシデントから話者の人物像が見えてくるようになると、言語学習はグッとリアルで深みのあるものになってきます。


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ビル・ゲイツとメリンダ・ゲイツ: 富を贈ることが最高の喜び

Japanese translation by Mari Arimitsu, reviewed by Emi Kamiya

1993年、婚約中のビルとメリンダ・ゲイツはザンジバルの海岸を歩きながら、マイクロソフト社から得た富を社会に確実に還元する方法について大胆な決断をしました。クリス・アンダーソンを交えたトークで、ゲイツ夫妻が自身のビル&メリンダ・ゲイツ財団にまつわる活動、結婚生活、子供たち、失敗について、そして富のほとんどを贈ることにどれほど満足しているかを語ります。

(2014/8/2 字幕公開)

2016/10/10

#92. ジュリー・リスコット=ヘイムス: 我が子を成功させる、やりすぎない子育て



翻訳ウラ話


聴衆の心をわしづかみにするパワフルな講演です。翻訳が終わった後で、講演者には弁護士の経験と詩の心得があることを知り(参照)、大いに納得しました。歯切れの良さ、テンポの良さ、喩えのわかりやすさ、言葉選びのセンス、盛り上げ方は見事ですね。

子育てや大学受験など、話題に馴染みがあるせいか、私の耳には、講演者の声や口調で日本語が聞こえてくるという“ご本人吹き替え現象”が起きていました。というわけで、訳すというより、聞こえるままに書き取るという感覚で、あっという間に字幕が出来上がりました。



英語学習のヒント


発音が明瞭で、話題も身近なものなので、学習に使いやすいと思います。音声面では、韻を踏んでいる部分など、英語のリズムや美しさを味わってください。口調やスピーチのスタイルという面では、学習者が真似するにはハードルが高いのと、重ね塗りするような技は言い回しとしてくどくなってしまう恐れがあるので注意してください。

語彙はところどころに見慣れない語やイディオムがあるのではないでしょうか。前後に似たような表現があるのでそれに助けられ、だいたいわかる場合が多いかもしれませんが、英語学習を目的とする人は、そういう語ほどあえてきちんと辞書を引いて意味を確かめるようにしましょう。2:22あたりで出てくる「コンシェルジュ」などの語は、日本語で通用しているぶん、かえって英語の発音が定着しにくいかもしれません。咄嗟に言われたり、言ったりする場面で対応できるよう、講演者のあとについて発音するなどして練習しておくといいですよ。

ま、"concierge"はアメリカ人にとっても外来語なので難しいんですけどね(参照)。


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ジュリー・リスコット=ヘイムス: 我が子を成功させる、やりすぎない子育て

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Saeko Hashimoto

過度な期待をかけまくり、子どものやることなすことを細かく管理する親は、子どもの助けになっていません。少なくともジュリー・リスコット=ヘイムスにはそう見えています。かつてスタンフォード大学で新入生担当学生部長を務めた彼女が、情熱とひねりの利いたユーモアをこめて主張します。親は子どもの成功を成績やテストの点数で決めるのをやめ、昔ながらの考えに立ち返って「無償の愛」を与えることに集中すべきなのです。

(2016/10/9 字幕公開)

2016/09/25

#31. サラ・ルイス: 「あと一歩」を大事にしよう



翻訳ウラ話


人名がたくさん出てくるので、1つ1つのカタカナ表記を調べ、複数の例がある場合にはどちらが良いか選ぶのに手間がかかりました。また、アーチェリーのルールや用語に馴染みがなかったのでネット上に出ている情報を頼りに「行射」などの用語を確認しました。TED翻訳では通常ヤード・ポンドをメートルに換算していますが、スポーツによっては日本でもヤード・ポンドを採用している場合があるので、この作品内では「ヤード(m)」「ポンド(kg)」のように併記しています。講演内容そのものは理解しやすく、短時間で訳し終えました。



英語学習のヒント


発音の明瞭さは標準的で、比較的ゆっくり話しているので聞き取りやすいのではないでしょうか。文が短く、エピソードごとの区切りがはっきりしているので、内容理解の面でも扱いやすいでしょう。

字幕オフで「だいたいわかった」→日本語字幕オンで「わかった」まで進んだら、トランスクリプトまたは英語字幕を使って、知らない単語を拾ってみましょう。「わかっているつもりだったのに、改めて見てみると意外と知らない語が多いな」と思われるのではないでしょうか。辞書を引いて意味を確認してください。芸術関係者らしく、叙情的で豊かな表現がふんだんに使われています。


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サラ・ルイス: 「あと一歩」を大事にしよう

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Yumi Wagatsuma

美術史家のサラ・ルイスは、最初に就いた美術館での仕事中、ある芸術家の研究から重要なことに気づきました。それは、「すべての作品が完全な傑作というわけではない」ということです。彼女が私たちに問いかけるのは、私たちの人生における「ほぼ失敗」や「あと一歩」の役割です。成功や熟達の追求において私たちを突き動かしているのは、実はこの「あと一歩」なのでしょうか。

(2014/7/23 字幕公開)

2016/09/19

#25. アン・カーザン: 言葉が「本物」になる条件



翻訳ウラ話


私は英語や日本語について、調べたり考えたり教えたりするのが日常ですが、私の興味は一貫して「何が正しいか」より「いま、何が使われているか」にあります。というわけでこの講演は個人的に身近に感じられ、あっという間に楽しく訳し終えました。「最近の言葉の乱れは目に余る」というのは、いつの時代にも、おそらくどの言語でも言われていることなんでしょうね。



英語学習のヒント


聞き取りやすさは標準的で文も複雑ではありませんから、いろんな学習に使えそうな講演ですが、せっかく「word」がテーマなので、単語に焦点を当ててみてはどうでしょう。実際、キーワードがわからないと話についていけず、会場の笑いにも乗り遅れてしまうので、内容理解のためにも意味を確認しておくといいですよ。普通に辞書を引いてもいいのですが、この講演で紹介されている単語をもとに自分で英英辞典を手作りすると、意味を見て暗記するのと違い、語義の英語からさらに語彙や表現が学べます。やり方は学習者のレベルに応じていろいろ考えられますが、たとえば以下のような方法があります。

①ノートを用意し、英語字幕やトランスクリプトから、「defriend」「hangry」「adorkable」のように、見出し語だけを拾って記入する。 ②講演者の説明を頭の片隅に起きながら、自分なりに考えて、意味・定義を書き入れる。 ③辞書やインターネットを使って確認し、実際の意味・定義を書き入れる。 ④見出し語を使って例文を作る。

講演の中の単語が終わったら、次にAmerican Dialect Societyのページへ行って、最近の「今年の単語」についても同じように見出し語と語義を書き出し、例文を作ってみましょう。語義の中にわからない単語があったらそれを見出し語に立てて、辞書を引いて語義を記入していきます。ポイントは見出し語よりも語義です。簡潔に説明する感覚を養いましょう。

ちなみに、2015年の「今年の単語」はこちらのTalkと関連がありますよ。


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アン・カーザン: 言葉が「本物」になる条件

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Ricky Park

「hangry」「defriend」「adorkable」 などの俗語は、たとえ辞書に載っていなくても、英語という言語の意味における重大な不足を補っていると言えます。結局のところ、どの語を辞書に収録するか決めているのは誰なのでしょう?歴史言語学者のアン・カーザンは、辞書作りの舞台裏にいる人たちに目を向け、彼らが絶えず行っている選択を魅力的に紹介してくれます。

(2014/6/29 字幕公開)

2016/09/18

#24. ポール・ピフ: お金が人を嫌なヤツにする?



翻訳ウラ話


テーマに興味があったので翻訳タスクをとりました。ちょうど自分の研究のために2人組の会話を収録したビデオをひたすら見続けていた頃だったので、この講演で紹介されている研究やビデオのサンプルがどこかでリンクしたのかもしれません。できるだけ講演者の口調に合わせ、距離感の近い雰囲気を損なわないよう、かな・カナ・漢字の表記も含めた日本語の選択に気を配りました。



英語学習のヒント


講演者は西海岸カリフォルニア州の若手プロフェッサーです。紹介されているビデオの中に出てくる被験者を含め、全体にいわゆる「くだけた」表現が含まれています。日本人学習者の中にはこのタイプの英語が話せるようになりたいと憧れる人も多いのではないでしょうか。話し言葉としてはごく自然なものですし、聞いて内容がわかることは重要ですが、同じような話し方が適切かどうかは、あなたのキャラクター、場面、話す相手によって事情が変わってきますので注意してください。

語彙はさほど難しくなく、わからない語があっても辞書を引けば解決するレベルでしょう。似たようなことを表す語を使い分けている場面がいくつもありますので、英語字幕やトランスクリプトから拾ってみましょう。それぞれの違いを確認しながら、だいたい同じ意味のグループとしてまとめて覚えるようにするといいですよ。


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ポール・ピフ: お金が人を嫌なヤツにする?

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Yuko Yoshida

勝敗の決まっているモノポリーによって驚くべきことが明らかになります。この愉快かつハッとさせるトークで社会心理学者のポール・ピフが紹介するのは、自分が裕福だと感じる人がとる(残念な)態度です。不平等の問題は複雑で困難な課題ですが、朗報もあります。(TEDxMarinにて収録)

(2014/4/8 字幕公開)

2016/09/17

#22. ジェームズ・フリン: なぜ祖父母世代よりもIQが高いのか



翻訳ウラ話


「mind」という語はいつもどう訳すのが良いか迷います。IQがテーマのこの作品ではさらに「cognitive~」や「mental~」などとも関わり、「お互いに近いんだけど、同じではない」「違うんだけど、日本語では表しきれない」というところで、正解のない問いに何度も悩まされました。

私は歯ごたえのある講演ほど日本語字幕が必要とされるだろうという考えから、こういう作品を積極的に選ぶ傾向があります。字幕がなくても、あるいは翻訳しなくても伝わる作品より、少し大変でも訳し甲斐があるものの方が、字幕を届ける意味が大きいような気がするからです。自己満足でしょうね。そうそう、講演の途中で馴染みのある地名が出てきた場面では、ほっこりしました。



英語学習のヒント


「聞き取れないわけではないけど、よくわからない」という印象を持つ学習者が多いかもしれません。内容がある程度理解できていないと厳しいでしょう。無理せず、日本語字幕をオンにして、講演の主旨をつかんでください。趣味程度で英語学習をしている人は、そこまでにして、他のもっとわかりやすいビデオを楽しむのが良いと思います。一方、たとえばアメリカの大学に進学する予定がある人は、このような学者らしい話し方をする教授に出会う可能性が大いにありますから、講義を聴く予行演習のつもりで、英語・日本語とも字幕をオフにして、メモを取りながら視聴してみましょう。18分で集中力が切れてしまうようでは、講義についていけません。できれば自分の取ったメモを誰かに見せて、効果的なメモが取れているかチェックしてもらうといいですよ。

学習用教材として使いたい場合は、たとえばトランスクリプトを開いて、まずは全体を見渡してみてください。このまるで論文のような文章を、ステージ上で淀みなく話していたんだということがわかり、講演者の凄さが改めて感じられるでしょう。次に、パラグラフの一部(5文前後)をランダムに選んで、内容をなるべく変えずにより平易な語や構文で書き換えてみてください。自分の持っている語彙や文法力でどこまで表現できるか、良い力試しになります。


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ジェームズ・フリン: なぜ祖父母世代よりもIQが高いのか

Japanese translation by Shohei Tanaka , reviewed by Emi Kamiya

「フリン効果」と呼ばれるものがあります。IQテストで、どの世代も前の世代より高い数値を示すというものです。私たちは本当に賢くなっているのでしょうか?それとも単なる考え方の違いでしょうか?道徳哲学者のジェームズ・フリンは、20世紀の知に関する歴史を通じて物事がめまぐるしく展開する中、考え方の変化が驚くべき(そして良いこととは限らない)結果をもたらしたという見解を表します。

(2014/1/20 字幕公開)

2016/09/14

#19. エリザベス・ロフタス: 記憶が語るフィクション



翻訳ウラ話


法律に関する語について、担当者間で訳語を慎重に選択しました。法律の専門家が翻訳に関わっていたからです。一般的には、その分野に詳しければ簡単に訳語を見つけられるように思われるかもしれませんが、実は特定の分野の用語に詳しい専門家ほど訳語の選択に悩むものなのです。詳しいからこそ、英語と日本語の概念のズレに敏感で大胆に踏みきれなかったり、正確な訳だとしても、その用語に慣れすぎていて専門性が測れないために、一般視聴者に伝わるかどうか確信が持てなかったりするのです。私も自分の専門についてはまったく同じなので、そのなんとも言えないジレンマがよくわかります。



英語学習のヒント


講演者の英語は聞き取りやすく、理解しやすいものです。語彙レベルとしてはやや馴染みのないものが含まれていますが、難解というほどではないでしょう。面倒がらずにきちんと辞書を引いて確認してください。講演者のサービス精神からか、よく聞くとツメの甘いところやツッコミどころがあります。トランスクリプトを読み込むなどしてじっくり考え、「オヤ?」と思うところがあったら、どこが引っかかるのか書き出してみましょう。「講演者は~と言っているが、自分は~と思う」「講演者はここまでしか言及していないが、こう展開するとよかった」などの構成でパラグラフを書いてみると力がつきます。


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エリザベス・ロフタス: 記憶が語るフィクション

Japanese translation by Yuko Yoshida, reviewed by Emi Kamiya

心理学者のエリザベス・ロフタスは、記憶の研究をしています。正確には、彼女が研究しているのは「偽りの記憶」―起きてもいないことの記憶や、事実とは違う形で残っている記憶です。こうした虚偽記憶は、一般に考えられているより普通にあることです。ロフタスは、衝撃的な事例や統計を紹介し、私たちが考えるべき重要な倫理的問題を提示します。

(2013/10/24 字幕公開)

2016/09/08

#17. ジョン・サール: 意識 ― 私達人間に共通するもの



翻訳ウラ話


言語学とコミュニケーション学を学んだ身としては「わ、speech actの人だ」という感じで素通りできず、ついタスクを取ってしまいました。…が、大変でした。訳しながら、わかったようなわからないような、わかったと思った途端にわからなくなるような体験をしました。特に8:50あたりでは何が「原因」に該当するのかがなかなか理解できず、他の担当者に図を描いて説明してもらいました。とほほ。

著名な研究者らしく、立場が非常に明確で、持論をどんどん展開していきます。「言いたいこと言っているなー」と感じられるところは、日本語でも遠慮のない表現を選ぶようにしました。



英語学習のヒント


TEDxCERN(欧州原子核研究機構で行われたイベント)という背景もあり、科学や研究などの知識を備えたオーディエンス向けの講義という雰囲気です。上述のとおり、内容が高度なので多少英語がわかる程度では太刀打ちできない部分があります。英語学習としては、理解できるところを拾う程度に留めておくことをお勧めします。


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ジョン・サール: 意識 ― 私達人間に共通するもの

Japanese translation by Kazunori Akashi, reviewed by Emi Kamiya

哲学者ジョン・サールが意識の研究を擁護する主張を展開します。また、真剣な意識の研究に対する反論を体系的に論破していきます。認識の原因となる脳内の処理過程がわかるにつれて、意識を生物学的現象と考えることが重要になります。またサールは、意識を大規模なコンピュータ・シミュレーションと捉える意見を否定します。(TEDxCERNにて収録)

(2013/9/21 字幕公開)

2016/09/06

#15. ロベルト・ダンジェロ+ フランチェスカ・フェデリ: 我が子の病気から学んだ人生の教訓



翻訳ウラ話


子どもがかわいかったという単純な理由で翻訳に着手しました。英語の非ネイティブの講演には同じような傾向がありますが、言葉の数が少なく、文が短く、構文がシンプルで理解しやすい反面、いざ訳すとなると意味が曖昧で、想像で補わなくてはならないところがあります。担当者間で「こういうことが言いたいのでは?」と意見を出し合って、補足として妥当と思われるものを選んで付け加えました。



英語学習のヒント


イタリア語母語話者の英語です。母語の影響があるのは明らかですが、人前で話す場合というのは母語のアクセントが日頃より強めに出るものです。TEDのような大きなステージ上でこの程度ということは、個人的に対話した場合のアクセントはほとんど気にならないレベルかもしれません。英語で発表するなどの予定がある人は、練習の段階で自分の発表を録音・録画し、日頃の話し方との違いを観察してみるとよいでしょう。

病気に関する語など一部の専門用語を除き、語彙は比較的平易で文も複雑ではありません。この講演からは、同じ非母語話者として、「たとえ少なくとも自分の持っている道具をフル活用して、自分の言いたいことをきちんと伝えることができる」という面で学ぶべきところがあると思います。学習として、ボキャブラリーを増やしたり、複雑な構文を使うこともある程度は大事ですが、それはキリのないことでもあるので注意してください。言語として知識を突き詰めることと、英語を使うことは別です。


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ロベルト・ダンジェロ+ フランチェスカ・フェデリ: 我が子の病気から学んだ人生の教訓

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Shohei Tanaka

ロベルト・ダンジェロとフランチェスカ・フェデリは、自分たちの間に生まれた男の子マリオは健康であると思っていました。しかし、生後10日でマリオに周産期脳卒中が見つかりました。左半身の自由が利かないマリオを前に、二人は厳しい疑問に取り組み始めました。マリオは“正常”になるのだろうか?充実した人生を送れるのか?不安に直面した親が、いかにしてその状況を転換させていったか。胸を打つ話です。

(2013/8/31 字幕公開)

2016/09/05

#14. レズリー・ヘイズルトン: 疑いは、信仰の本質



翻訳ウラ話


TED翻訳の魅力の1つに、よく知らない分野をちょっとだけ覗き見して、賢くなったような気になれる、というのがあります。講演を聞き、文字で読み、周辺情報や関連記事に目を通しながら訳し、字幕公開までに何度も内容をなぞるおかげです。この作品を訳すにあたり、講演の中で紹介されている物語や、固有名詞のカタカナ表記など、知らなかったことがたくさんあって勉強になりました。講演者の深みのあるきっぱりとした口調や、表現の豊かさ、語り手としての技術の高さをなんとか訳に反映できるよう気を配りました。



英語学習のヒント


英語学習の教材としては、少なくともそのままでは使いにくいでしょう。たとえば字幕なしで“浴びる”式に流して見るだけでは、ほとんど頭に残らないのではないでしょうか。背景の宗教的な知識がないと、内容理解も厳しいです。日本語字幕をオンにして視聴し、場面を想像して文学的な美しさを味わい、力強いメッセージを受け止めるだけに留めておいても良いと思います。

あえて英語学習用にしたいという人は、たとえば語彙に絞ってみてはどうでしょう。辞書を丁寧に引いて、意味や発音を確認しながら、①発信(書く・話す)で使えるようにする、②受信(読む・聞く)の際に意味がわかればOK、③今回限りで忘れちゃってもOK、と3段階に分けて整理してみましょう。この講演には手強い語がたくさん使われていますが、キーワードとして出てくる"faith"や"essential"などの基本的な語も、試しにきちんと辞書を引いてみると、意外と奥が深いと思うかもしれませんよ。


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レズリー・ヘイズルトン: 疑いは、信仰の本質

Japanese translation by Yuriko Nakamura, reviewed by Emi Kamiya

レズリー・ヘイズルトンは、イスラム教預言者ムハンマドの伝記を書いているとき、あることに衝撃を受けました。古い記述によれば、コーランの啓示を受けた夜、彼は初めに疑い、畏怖、恐怖さえも持ったというのです。そしてこの経験こそが彼の信仰の基盤となりました。ヘイズルトンは信仰の土台としての疑いと問いに対する新たな見解を提唱し、あらゆる宗教の原理主義の終結を呼びかけています。

(2013/8/28 字幕公開)

2016/08/25

#8. アンドレア・シュライヒャー 「データに基づく学校改革」



翻訳ウラ話


偶然同じ時期に私が携わることになった「教育の未来」がテーマの講演、第2弾です。講演者は日本でもよく知られる教育指標事業PISA (Programme for International Student Assessment)(参照)の責任者。ドイツ人が語る、教育統計の国際比較です。切り口はずいぶん違いますが、第1弾との共通点がかなりあります。



英語学習のヒント


ヨーロッパ人の英語に慣れていないと、聞き取りにくいと感じるかもしれません。アクセントや文末の処理の仕方が、日本のリスニング教材等で聞く英語とは違うからです。表情も豊かとは言いがたいので、ちょっと怖いと感じる人もいるでしょうか。文化の違いもありますが、私はこの講演者の口調や表情が、講演の内容や説明の仕方によく合っていて、説得力を増しているように思います。日本人向けのスピーチ練習はアメリカをお手本にしているものが多いですが、世界にはこういうやり方もあるということで、参考にしてください。

教育の研究や統計に馴染みがないと、語彙や内容理解の面でちょっと厳しいかもしれません。無理せず日本語字幕を利用して、内容がわかってから英語に移ることをお勧めします。

こうした統計報告は大きな関心を集める一方、どうしても物議を醸すものです。TEDのページには視聴者からたくさんのコメントが寄せられています。いくつか読んでから、自分だったらどんなコメントを残すか考え、1パラグラフ書いてみましょう。


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アンドレア・シュライヒャー 「データに基づく学校改革」

Japanese translation by Kazunori Akashi, reviewed by Emi Kamiya

教育システムが機能する要因を捉える方法はあるでしょうか。アンドレア・シュライヒャーが紹介するのは、世界規模の学力テストPISAです。このテストでは各国の順位が示されるだけでなく、データをよりよい学校づくりのために活用することができるのです。自分が住む国や地域の順位を見ながら、優れた成績をあげる要因について学びましょう。

(2013/4/23 字幕公開)

#7. 「遊びから情熱、そして目的へ」 トニー・ワグナー (TEDxNYED)



翻訳ウラ話


教育の研究をする者として、私は日本を含む世界の国々の教育がどういう問題を抱え、どう改善し、どう報告されているかに大いに関心があります。当時、偶然にも「教育の未来」をテーマにした講演の翻訳が立て続けに私のところへ来たので、勝手に「3部作」と呼んでいました。これはその第1弾、アメリカ人がアメリカの教育の問題点を語る編です。



英語学習のヒント


さすが学校の先生という感じで、明瞭な発音、緩急や抑揚のついた聞き取りやすい英語です。話すスピードはやや速めですが、そのせいもあって話のテンポがよく、ユーモアを交えて聞き手を飽きさせません。文としても短めでシンプルな構成のものが多いので、理解しやすいでしょう。あいにくTEDxの講演には公式のトランスクリプトがついていませんが、ネット上を探すと見つかるかもしれませんので読んでみてください。また、この講演者が同じテーマを論じた本や記事は、リーディングや要約の練習に使えます。たとえばこちらの記事は特に有名なものですが、講演を聞いてから読むと内容がよくわかると思います。

一通り内容がつかめたら、英語字幕をオンにして、文字で確認してみましょう。語彙は全体的に平易ですが、ところどころ見慣れない語やイディオムが使われているのに気づくのではないでしょうか。さて、そこから? それがこの講演のテーマですよね。


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「遊びから情熱、そして目的へ」 トニー・ワグナー (TEDxNYED)

Japanese translation by Chieko Tamakawa, reviewed by Emi Kamiya

トニー・ワグナー氏は最近、ハーバード大学のテクノロジー&起業センターの初代革新教育フェローに就任しました。彼は国の内外を問わず学校や教育区、財団を対象に幅広く助言を与えています。

(2013/4/21 字幕公開)

2016/08/21

#6. アマンダ・パーマー 「“お願い” するということ」



翻訳ウラ話


なんといっても悩ましかったのはタイトルです。「The art of ~ing」というのは英語としては馴染みのある表現で、タイトルとしても収まりが良いのですが、調べてみるとこれという日本語訳がなく、それぞれ苦心して訳されていることがわかりました。さらに「ask」も意外と難しいのです。というわけで、講演内容を踏まえて、担当者間でいくつかの案を出しあい、「このくらいかなぁ」というところで落ち着かせることにしました。

また、口調を訳に反映させるのにも工夫が必要でした。堅苦しい話し方を避けるのはもちろんですが、あまりに崩しすぎたり、ステレオタイプな「おねえちゃん口調」にしたりするのも相応しくありません。彼女の雰囲気のすべてを日本語に載せることは無理にせよ、とんがった感じ、かわいらしさ、繊細さ、賢さが少しでも表せていれば幸いです。



英語学習のヒント


英語自体は複雑ではなく、短い文が重ねてある効果もあるので、たとえば英語字幕をオンにして視聴するとさほど難しくないことがわかるでしょう。内容理解の面では、指示語や代名詞が何を指しているのか捉えにくいところがあります。日本語字幕ではその点についてできるだけ補足していますので、参考にしてください。

音声的には語尾の上がり具合が気になったり、やや早口と感じる人もいるかもしれませんが、少なくとも私は話し方として特別な印象は受けていません。この世代のアメリカ人と話すことに慣れている人なら、むしろ聞きやすいと感じるのではないでしょうか。

音楽用語に興味がある人は、英語トランスクリプトから、関連する語を拾って日本語でなんと言うか、考えてみてください。'a last-minute, spontaneous gig'や'crowdsurf'、'torrenting'のようなちょっと耳慣れない語も、立ち止まって考えてみるときっと意外な発見がありますよ。


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アマンダ・パーマー 「“お願い” するということ」

Japanese translation by Kazunori Akashi, reviewed by Emi Kamiya

音楽にお金を出させるのではなく、払いたい人が払えるようにしてあげればいいんだとアマンダ・パーマーは言います。「2メートル半の花嫁 (!)」として帽子にお金を集めていたストリート・パフォーマー時代で始まる情熱的な語りを通して、彼女はアーティストとファンの新しい関係を考察しています。

(2013/3/24 字幕公開)

#5. ジュリー・バースティン「創造力を育む4つの教訓」



翻訳ウラ話


陶芸、文学、映画、絵画、彫刻、写真と、芸術の範囲内で話題が次々に飛ぶので、語彙や訳語、人名の日本語(カタカナ)表記の確認に追われました。一部、最後まで事実確認がとれなかった箇所がありましたが、講演者の意図するエンターテイメント性を重視してそのまま残しました。芸術に造詣の深い話者の、自らの感動を共有したいという想いを載せた口調を、できるだけ日本語にも反映するよう心がけました。



英語学習のヒント


講演者はラジオ・パーソナリティでインタビュアーというだけあって、これぞ「聴かせる英語」という雰囲気です。発音は明瞭、速度もほどよく、抑揚がしっかりめについているので、聞き取りやすいでしょう。講演の構成としても、具体的なエピソードで聴衆を惹きつけ、情感あふれる描写で聞いている人の頭の中に風景や色、におい、質感などを想像させるテクニックはさすがです。日本語、英語にかかわらず、人前で話す機会がある人にとっては参考になるでしょう。

英語そのものは難解ではありませんが、芸術、歴史、地理などの背景知識がないとちょっと筋を見失ってしまうところがあるかもしれません。 Transcriptをさらっと読んだだけだと、わかったようなわからないような感じになりそうです。わからなくなったらパラグラフの最初に戻り、1文ずつ丁寧に読みなおすようにしてみましょう。さらっと読んだときには見逃していた発見があるかもしれませんよ。


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ジュリー・バースティン「創造力を育む4つの教訓」

Japanese translation by Hitomi Takimizu, reviewed by Emi Kamiya

ラジオ司会者のジュリー・バースティンはクリエイティブな仕事をする人々と対談しています。課題や自己不信、喪失に直面しながらも、そこから創造力を働かせた人たちが伝える4つの人生訓を紹介します。映画監督ミーラー・ナーイル、作家リチャード・フォード、彫刻家リチャード・セラ、写真家ジョエル・マイエロヴィッツの話を聞いてみましょう。

(2013/3/11 字幕公開)

2016/08/15

#79. 学び方を学ぶ | バーバラ・オークリー | TEDxOaklandUniversity



翻訳ウラ話


高度な内容を、わかりやすく、穏やかな口調で語る講演者の雰囲気を大切に訳すことを心がけました。軍隊、地理、言語、神経科学、ゲーム、芸術、教育など、話題が多岐にわたるため、訳語の確認をこまめにおこないました。



英語学習のヒント


ゆっくり丁寧に話してくれるので、比較的聞き取りやすいのではないかと思います。ただ、たとえば字幕なしでチャレンジすると、「なんとなくわかるけど、よくわからない」ということになるかもしれません。ガッカリしなくて大丈夫ですよ。英語は平易でも、内容が高度なのですから仕方ありません。日本語で意味を確認してから聞き直すと、よくわかるようになると思います。

英語で研究発表をするなど、ご自分の専門について話す機会がある人にとっては、複雑な内容をわかりやすく説明し、聞き手に伝わる工夫をするためのお手本になりそうですね。


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学び方を学ぶ | バーバラ・オークリー | TEDxOaklandUniversity

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Mai Ohta

工学部の教授バーバラ・オークリーは自らの体験から、数学に苦労する感覚を知っています。彼女は高校の数学や理科では赤点を繰り返し、卒業後すぐに米陸軍に入隊しました。軍隊で昇進するにしろ他のキャリアを探すにしろ、数学の能力やテクノロジーへの理解が欠けているせいで、選択肢が大いに狭められていることに気づいた彼女は、新たな決意を胸に学問の世界へ戻ります。自分がずっと悩まされてきた、まさにその課題を極めるため、自分の脳を鍛え直すことにしたのです。

(2016/5/8 字幕公開)

2016/08/05

#85. ブライアン・リトル: 自分はいったい何者なのか―性格の謎を解き明かす & #86. ある情熱的な内向型人間の告白




翻訳ウラ話


2014年TEDxと2016年TEDでの講演。よく似た内容だったので、同じペアで2本を行き来して翻訳しました。訳として統一すべきところはしながら、それぞれに翻訳者の個性を残してもいるので、2つの翻訳を見比べるとおもしろい発見があるかもしれません。


英語学習のヒント


英語学習の教材には向かないTalkです。字幕なしで聞き取れる上級者でも、内容をすべて理解するのは厳しいでしょう。英語字幕を見てもあまり助けになりません。誰にでもわかる話し方を選んでいないのには理由があり、それ自体が講演内容の伏線になっていると考えられます。もちろん、講演者本人の立場や聴衆への敬意の表れでもあります。

この講演を知ったのは、あるオンライン教育の研究者との議論がきっかけでした。オンライン教育を含む昨今の”ソーシャル”な教育が前提としているかもしれない、extrovertな学習者・教育者像に対する懸念を共有しました。これは日本の英語教育において時々気になる点でもあります。特に英語の会話指導では、まるで上達のためにはextrovertになるのが必須のような雰囲気があり、一部には「英語を話す際には”演じる”のが当然」と思われている節もあります。ブライアン・リトルの言う「コア・プロジェクト」の考えに賛同しつつ、KECでは学習者が自分らしさを失うことなく言語を使い、本来の自分をよりよく表現するという方向で言語学習を進めていってもらいたいと考えています。

”ソーシャル”な教育と外向性・内向性について興味のある方はこちらの記事もどうぞ。


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ブライアン・リトル: 自分はいったい何者なのか―性格の謎を解き明かす (2016)

Japanese translation by Riaki Poništ, reviewed by Emi Kamiya

自分を自分たらしめるものとは何か。心理学者はなにかと、人の特性や、その人を特徴づける性質を定義したものを持ち出します。しかしブライアン・リトルが注目するのは、文化として求められる場合や、自らそうせざるを得ない場合も含め、人がこういった特性を超えて振る舞うケースです。このトークでは、リトル博士が内向型人間と外向型人間の違いに切り込み、人の性格は自分で思っているよりも変幻自在なものであると言えるのはなぜかを解説します。
(2016/8/5 字幕公開)


ある情熱的な内向型人間の告白 | ブライアン・リトル | TEDxOxbridge (2014)

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Riaki Poništ

ブライアン・リトルが面白おかしく語る、この楽しいトークでは、私たちの日常に登場する内向型人間と外向型人間に目を向けます。なぜ人は柄にもないキャラを演じることがあるのか、それに対して何ができるのか、考えさせられるでしょう。
(2016/8/5 字幕公開)

2016/06/29

#84. アダム・グラント: 独創的な人の驚くべき習慣



翻訳ウラ話


日本国内で教わる英語が得意な人ほど、内容理解にてこずったり誤解してしまったりするタイプの作品かもしれません。訳す過程で、自分がアメリカでいろいろな年齢層、異なる分野の人たちの英語を聞いてきた経験が生かされているなと感じました。


英語学習のヒント


この講演者が話す英語は、日本の教室で使う音声教材や日本にいる“ネイティブ”の先生が話す英語とは異質のものでしょう。英語圏でも、いわゆる語学留学や短期ホームステイでは出会わずに済んでしまうかもしれません。しかし、たとえば日本の高校を卒業後すぐにアメリカの大学に進学する学習者なら、入学直後から教授、クラスメート、ルームメイトたちに浴びせられる種類の英語です。語彙やイディオム、発音などの特徴が、今まで聞いてきた英語と違うために慣れるまで戸惑うわけですが、それに気づくまでは"My English is crap." とばかりに落ち込んでしまうのではないでしょうか。そんな時はぜひ"I'm just not there yet."と切り替えてほしいと思います。その経験は将来、きっと英語という言語を超え、大きな価値につながります。


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アダム・グラント: 独創的な人の驚くべき習慣

Japanese translation by Rikuto Koyanagi, reviewed by Emi Kamiya

創造的な人々はどのようにして素晴らしいアイデアを思いつくのでしょうか? 組織心理学者のアダム・グラントは「オリジナルな人」の研究をしています。新たなアイデアを空想し、行動によってそれらを現実に落とし込む人々のことです。この講演から、オリジナルな人が持つ3つの意外な習慣を学びましょう。そこには失敗を受け止めることも含まれます。グラントは言います。「オリジナルな人の中で最も偉大なのは、最も多くの失敗をした人です。なぜならそれは最も挑戦した証だから。多数のまずいアイデアがあるからこそ、少数の良いアイデアを生むことができるのです。」

(2016/6/29 字幕公開)