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2016/11/09

#94. 義務でする交流なんて要らない | キャロライン・ マグロー | TEDxBirminghamSalon



翻訳ウラ話


コーチングセッションの中で「忙しくて学習時間が取れない」「どこから手を付ければいいかわからない」というようなご相談を紐解いていくと、それぞれの「線引き」や「優先順位」の問題につながってくることがあります。限られた時間やエネルギーを、どこにどれだけ使うかは本人次第なのですが、それに気づくのは簡単ではないのかもしれません。こうした講演が、日常生活のちょっとした習慣を変えていくきっかけになればいいなと思います。



英語学習のヒント


この講演で出てくる「owe」や「miss」は、英語としては基本的な部類で非常によく使われる動詞ですが、日本語に訳そうとすると意味がとりにくいものです。そのためか、日本人学習者が発する英語の中ではあまり見かけません。読む・聞くというreceptiveな場面では「なんとなくわかるけど、よくわからない」、書く・話すというproductiveな場面では「使えない」「使うのに勇気が要る」となっているのかもしれませんね。「owe」「miss」の他に、英語では頻出でも日本人にとって使いにくい動詞としてパッと思いつくのは「deserve」「matter」「afford」などでしょうか。

このような動詞をきちんと理解するには、日本語訳と英語の両面から、できるだけ多くの例文に当たることが大切です。まずは辞書を引くことですが、最初に出てきた意味をチラッと見ただけでわかったつもりになってしまうと、このタイプの語は習得できません。語義、例文を丁寧に読み、その語が持つ“守備範囲”をつかみましょう。次に、ターゲットの語が使われている前後の文脈を探します。ネット検索が便利ですが、ターゲットの語単体で探してもうまく行きませんし、「+sentence」のようなキーワードでは文レベルの例しか見つかりません。そこで、辞書で得た情報から、一緒に使われている可能性の高い語を見繕ってキーワードにします。たとえば「owe」なら「+responsibility」「+relation」「+favor」などと合わせて探す、という具合です。どんな語と組み合わせるとよいか考えることで、言語センスも磨かれていきます。


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義務でする交流なんて要らない | キャロライン・ マグロー | TEDxBirminghamSalon

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Riaki Poništ

この短い講演では、ライターのキャロライン・ マグローが、自身が執筆し、大きな反響を得て広まったブログ記事にまつわる問題を語ります。過度に他人とつながりやすい現代社会で、自らのエネルギーを使い果たすことなく、なおも他者に与える方法について、マグローのアイデアを聞いてみましょう。

(2016/11/8 字幕公開)

2016/10/10

#92. ジュリー・リスコット=ヘイムス: 我が子を成功させる、やりすぎない子育て



翻訳ウラ話


聴衆の心をわしづかみにするパワフルな講演です。翻訳が終わった後で、講演者には弁護士の経験と詩の心得があることを知り(参照)、大いに納得しました。歯切れの良さ、テンポの良さ、喩えのわかりやすさ、言葉選びのセンス、盛り上げ方は見事ですね。

子育てや大学受験など、話題に馴染みがあるせいか、私の耳には、講演者の声や口調で日本語が聞こえてくるという“ご本人吹き替え現象”が起きていました。というわけで、訳すというより、聞こえるままに書き取るという感覚で、あっという間に字幕が出来上がりました。



英語学習のヒント


発音が明瞭で、話題も身近なものなので、学習に使いやすいと思います。音声面では、韻を踏んでいる部分など、英語のリズムや美しさを味わってください。口調やスピーチのスタイルという面では、学習者が真似するにはハードルが高いのと、重ね塗りするような技は言い回しとしてくどくなってしまう恐れがあるので注意してください。

語彙はところどころに見慣れない語やイディオムがあるのではないでしょうか。前後に似たような表現があるのでそれに助けられ、だいたいわかる場合が多いかもしれませんが、英語学習を目的とする人は、そういう語ほどあえてきちんと辞書を引いて意味を確かめるようにしましょう。2:22あたりで出てくる「コンシェルジュ」などの語は、日本語で通用しているぶん、かえって英語の発音が定着しにくいかもしれません。咄嗟に言われたり、言ったりする場面で対応できるよう、講演者のあとについて発音するなどして練習しておくといいですよ。

ま、"concierge"はアメリカ人にとっても外来語なので難しいんですけどね(参照)。


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ジュリー・リスコット=ヘイムス: 我が子を成功させる、やりすぎない子育て

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Saeko Hashimoto

過度な期待をかけまくり、子どものやることなすことを細かく管理する親は、子どもの助けになっていません。少なくともジュリー・リスコット=ヘイムスにはそう見えています。かつてスタンフォード大学で新入生担当学生部長を務めた彼女が、情熱とひねりの利いたユーモアをこめて主張します。親は子どもの成功を成績やテストの点数で決めるのをやめ、昔ながらの考えに立ち返って「無償の愛」を与えることに集中すべきなのです。

(2016/10/9 字幕公開)

2016/10/05

#91. 精神的に強くなる秘訣 | エイミー・モーリン | TEDxOcala



翻訳ウラ話


「聞いてわかる」のと「日本語に訳せる」というのは違うものだなぁと改めて感じました。たとえば2:23の"I shouldn't have to deal with it." 日本語ではなんて言うんだろうとあれこれ考えを巡らせました。何度も再生して口調を確かめ、"I shouldn't have to ~"を含む文を検索して、文脈からそこに込められた感情を読み取ろうとしたのですが、結局これだという訳には出会えませんでした。どことなく「他の人ならいい」「自分以外の人にしてくれ」というニュアンスがありそうだと判断して、担当者間で「私じゃなくてもいいはず」「どうしてこんなことが」「こんな目に遭うなんて」などの候補を出しあいました。



英語学習のヒント


"cost" "deserve" "afford" など、日本語にしにくい動詞が次々と出てきます。こういう語は、受験テクニックによくある単語帳的な暗記ではなかなか使いこなすところまで到達しません。ターゲットとなる語が使われている文をなるべくたくさん集め、背景なども含めて目を通し、感覚的にじんわり吸収していく必要があります。手順としては、まず辞書を引いて用例を上から下まで読みます。できるだけ多くの辞書を当たってください。次にこの講演の例から、「どんな心情、どんな場面で使われ、どういうことを指しているか」ということを考えます。続いて、ターゲットの語を自分の状況にあてはめて文を作ります。最後に、英語がわかる人に前後関係を含めて説明し、自分の作った文が自分の言いたいことと合っているかチェックします。「いつかこういう場面になったら使おう」と準備しておくと、意外と“その時”はすぐやってきて、英語が咄嗟に出るという体験ができますよ。

また、この講演は時間感覚の学習にも使えます。学習段階に応じていろいろな方法が考えられますが、初学者はまず「過去」を表現する方法を拾ってきちんと押さえましょう。次の段階にある学習者は、過去をベースに、いわゆる「大過去」の表現を確認してください。さらに余裕のある学習者は、「現在形」が使われている部分に注目し、その効果や奥深さを味わってみましょう。TEDxの講演にはあいにく公式のトランスクリプトがありませんが、ネット上には使えそうな資料がありますので参考にしてください。


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精神的に強くなる秘訣 | エイミー・モーリン | TEDxOcala

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Reiko Bovee

精神的に強くなる能力は誰にでもありますが、ほとんどの人はその方法を知りません。どんな状況でも、考えを正し、感情をコントロールし、生産的な行動をとる方法を身につけるための練習をするという選択は可能なのです。精神的強さの基本的な3つの要素について、臨床ソーシャルワーカーと心理療法士の資格を持つエイミー・モーリンが語ります。

(2016/10/5 字幕公開)

2016/09/25

#31. サラ・ルイス: 「あと一歩」を大事にしよう



翻訳ウラ話


人名がたくさん出てくるので、1つ1つのカタカナ表記を調べ、複数の例がある場合にはどちらが良いか選ぶのに手間がかかりました。また、アーチェリーのルールや用語に馴染みがなかったのでネット上に出ている情報を頼りに「行射」などの用語を確認しました。TED翻訳では通常ヤード・ポンドをメートルに換算していますが、スポーツによっては日本でもヤード・ポンドを採用している場合があるので、この作品内では「ヤード(m)」「ポンド(kg)」のように併記しています。講演内容そのものは理解しやすく、短時間で訳し終えました。



英語学習のヒント


発音の明瞭さは標準的で、比較的ゆっくり話しているので聞き取りやすいのではないでしょうか。文が短く、エピソードごとの区切りがはっきりしているので、内容理解の面でも扱いやすいでしょう。

字幕オフで「だいたいわかった」→日本語字幕オンで「わかった」まで進んだら、トランスクリプトまたは英語字幕を使って、知らない単語を拾ってみましょう。「わかっているつもりだったのに、改めて見てみると意外と知らない語が多いな」と思われるのではないでしょうか。辞書を引いて意味を確認してください。芸術関係者らしく、叙情的で豊かな表現がふんだんに使われています。


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サラ・ルイス: 「あと一歩」を大事にしよう

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Yumi Wagatsuma

美術史家のサラ・ルイスは、最初に就いた美術館での仕事中、ある芸術家の研究から重要なことに気づきました。それは、「すべての作品が完全な傑作というわけではない」ということです。彼女が私たちに問いかけるのは、私たちの人生における「ほぼ失敗」や「あと一歩」の役割です。成功や熟達の追求において私たちを突き動かしているのは、実はこの「あと一歩」なのでしょうか。

(2014/7/23 字幕公開)

2016/09/20

#27. ウーリ・アロン: 真の革新的科学のために、未知の領域へ飛び込むことが不可欠な理由



翻訳ウラ話


この作品前後、私は集中的に翻訳に取り組んでいたせいか、字幕なしのビデオを初めて見たときに、日本語の吹き替えが聞こえてくるような感覚をもつようになっていました。講演者が、声や口調、タイミングはそのままに、日本語を話してくれるので、それをただ書き取るだけで翻訳ができあがるというわけです。おかげで1本の翻訳がわずか1-2日程度で完成していました。

全体としては大変わかりやすく話してくれているのですが、10:05あたりからの表現が一部わかりにくかったので、友人の生物学者に助けを求め、噛み砕いて解説してもらいました。マニアックな話を、そうとは気づかず織り込んでしまうのは、いかにも研究者です。



英語学習のヒント


講演者はイスラエルの科学者です。アクセントはありますが、ほとんど気にならないでしょう。役者の経験を持つだけあって、表情や表現が豊かで、説明が上手です。英語をひたすら勉強して、言語以外に頼らず伝えきるというのも立派ですが、彼のように科学・演劇・音楽など多彩なチャンネルを使って聴衆の心を掴み、メッセージを伝えるというのも、学習目標としてアリですよね。

この講演には気持ちを表す形容詞がたくさん使われています。英語字幕やトランスクリプトから拾ってみてください。辞書で意味を確認するだけでなく、講演の中での使われ方や描写を踏まえて具体的にイメージしたり、自分はどんなときにその感情を抱いたか思い出したりしてみましょう。そうやってイメージや気持ち、過去の体験と結びつけることで、新しい知識は脳にしっかりと記憶されるようになります。


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ウーリ・アロン: 真の革新的科学のために、未知の領域へ飛び込むことが不可欠な理由

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Makoto Ikeo

物理学を専攻し博士課程で研究していた頃、ウーリ・アロンは自分のことを失格者だと思っていました。どの研究も行き詰まっていたからです。しかし、即興劇に救われ、彼は迷いの中にも喜びがあるのだということに気づきました。研究を、疑問と答えをつなぐ直線と見るのを止め、もっとクリエイティブなものと考えるよう科学者たちに求めます。専門分野を越えて共感できるメッセージです。

(2014/7/7 字幕公開)

2016/09/19

#25. アン・カーザン: 言葉が「本物」になる条件



翻訳ウラ話


私は英語や日本語について、調べたり考えたり教えたりするのが日常ですが、私の興味は一貫して「何が正しいか」より「いま、何が使われているか」にあります。というわけでこの講演は個人的に身近に感じられ、あっという間に楽しく訳し終えました。「最近の言葉の乱れは目に余る」というのは、いつの時代にも、おそらくどの言語でも言われていることなんでしょうね。



英語学習のヒント


聞き取りやすさは標準的で文も複雑ではありませんから、いろんな学習に使えそうな講演ですが、せっかく「word」がテーマなので、単語に焦点を当ててみてはどうでしょう。実際、キーワードがわからないと話についていけず、会場の笑いにも乗り遅れてしまうので、内容理解のためにも意味を確認しておくといいですよ。普通に辞書を引いてもいいのですが、この講演で紹介されている単語をもとに自分で英英辞典を手作りすると、意味を見て暗記するのと違い、語義の英語からさらに語彙や表現が学べます。やり方は学習者のレベルに応じていろいろ考えられますが、たとえば以下のような方法があります。

①ノートを用意し、英語字幕やトランスクリプトから、「defriend」「hangry」「adorkable」のように、見出し語だけを拾って記入する。 ②講演者の説明を頭の片隅に起きながら、自分なりに考えて、意味・定義を書き入れる。 ③辞書やインターネットを使って確認し、実際の意味・定義を書き入れる。 ④見出し語を使って例文を作る。

講演の中の単語が終わったら、次にAmerican Dialect Societyのページへ行って、最近の「今年の単語」についても同じように見出し語と語義を書き出し、例文を作ってみましょう。語義の中にわからない単語があったらそれを見出し語に立てて、辞書を引いて語義を記入していきます。ポイントは見出し語よりも語義です。簡潔に説明する感覚を養いましょう。

ちなみに、2015年の「今年の単語」はこちらのTalkと関連がありますよ。


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アン・カーザン: 言葉が「本物」になる条件

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Ricky Park

「hangry」「defriend」「adorkable」 などの俗語は、たとえ辞書に載っていなくても、英語という言語の意味における重大な不足を補っていると言えます。結局のところ、どの語を辞書に収録するか決めているのは誰なのでしょう?歴史言語学者のアン・カーザンは、辞書作りの舞台裏にいる人たちに目を向け、彼らが絶えず行っている選択を魅力的に紹介してくれます。

(2014/6/29 字幕公開)