2016/09/29

#89. サルマン・カーン: 点数ではなく身に付けることを目指す教育



翻訳ウラ話


教育関係者なら誰もが知る、カーン・アカデミーのサルマン・カーンの講演です。内容はこれまでにも繰り返し主張されてきたとおりですが、今回は新たな喩えを使ってより伝わりやすく説明しています。

Flipped Classroom(反転授業)が広がりつつあるアメリカに比べ、日本では展開が遅いような印象があります。さまざまな思惑や物理的、感情的な事情はあるのでしょうけれど、そうこうしているうちに、学習者の時間がどんどん過ぎていってしまうのは惜しいような気がします。こうした講演の字幕や翻訳が、個別の習得型学習についての理念を正しく伝え、建設的な議論を起こすための一助になればいいなと思います。



英語学習のヒント


講演の内容は学習者や教育者にとって大いに有益ですが、この講演そのものを英語学習に使うとなると、なにもこれを選ばなくてもいいかなという感じです。発音、語彙、文法の面で、全体的にゆるいところがあるので、英語学習向きではありません。パブリック・スピーキングの面では、喩えのうまさ、聴衆を惹きつける魅力という点で学ぶところがあるかもしれません。

カーン・アカデミーには日本語版もあります(参照)。日本語・英語版ともに数学のビデオが圧倒的多数ですが、英語版には英文法のビデオもあります(参照)。学習者の中で、文法が得意で、基礎がきちんと固まっている人は、こうしたビデオを使うと自分の知識がすっきり整頓されていく感覚を楽しめると思います。一方、文法が苦手な学習者はかえって混乱することになりかねませんので、まずは日本語で書かれた良質な文法書を使って、シンプルな文、基本的な項目からきちんと抑えるようにしてください。基礎から丁寧に、じっくり、しっかりと固めましょう。「穴」があいたまま次の項目を積み上げてはダメですよ。


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サルマン・カーン: 点数ではなく身に付けることを目指す教育

Japanese translation by Yasushi Aoki, reviewed by Emi Kamiya

未完成の土台の上に家を建てようと思いますか? もちろんそんなことはしないでしょう。それならどうして教育においては、まだ基礎が出来ていないうちに先へと進めてしまうのでしょう? 難しい問題ですが、教育者のサルマン・カーンが、自分のペースで習得していくのを助けることで落ちこぼれつつある生徒を好学の士へと変えられるプランを話してくれます。

(2016/9/29 字幕公開)

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