2016/09/17

#22. ジェームズ・フリン: なぜ祖父母世代よりもIQが高いのか



翻訳ウラ話


「mind」という語はいつもどう訳すのが良いか迷います。IQがテーマのこの作品ではさらに「cognitive~」や「mental~」などとも関わり、「お互いに近いんだけど、同じではない」「違うんだけど、日本語では表しきれない」というところで、正解のない問いに何度も悩まされました。

私は歯ごたえのある講演ほど日本語字幕が必要とされるだろうという考えから、こういう作品を積極的に選ぶ傾向があります。字幕がなくても、あるいは翻訳しなくても伝わる作品より、少し大変でも訳し甲斐があるものの方が、字幕を届ける意味が大きいような気がするからです。自己満足でしょうね。そうそう、講演の途中で馴染みのある地名が出てきた場面では、ほっこりしました。



英語学習のヒント


「聞き取れないわけではないけど、よくわからない」という印象を持つ学習者が多いかもしれません。内容がある程度理解できていないと厳しいでしょう。無理せず、日本語字幕をオンにして、講演の主旨をつかんでください。趣味程度で英語学習をしている人は、そこまでにして、他のもっとわかりやすいビデオを楽しむのが良いと思います。一方、たとえばアメリカの大学に進学する予定がある人は、このような学者らしい話し方をする教授に出会う可能性が大いにありますから、講義を聴く予行演習のつもりで、英語・日本語とも字幕をオフにして、メモを取りながら視聴してみましょう。18分で集中力が切れてしまうようでは、講義についていけません。できれば自分の取ったメモを誰かに見せて、効果的なメモが取れているかチェックしてもらうといいですよ。

学習用教材として使いたい場合は、たとえばトランスクリプトを開いて、まずは全体を見渡してみてください。このまるで論文のような文章を、ステージ上で淀みなく話していたんだということがわかり、講演者の凄さが改めて感じられるでしょう。次に、パラグラフの一部(5文前後)をランダムに選んで、内容をなるべく変えずにより平易な語や構文で書き換えてみてください。自分の持っている語彙や文法力でどこまで表現できるか、良い力試しになります。


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ジェームズ・フリン: なぜ祖父母世代よりもIQが高いのか

Japanese translation by Shohei Tanaka , reviewed by Emi Kamiya

「フリン効果」と呼ばれるものがあります。IQテストで、どの世代も前の世代より高い数値を示すというものです。私たちは本当に賢くなっているのでしょうか?それとも単なる考え方の違いでしょうか?道徳哲学者のジェームズ・フリンは、20世紀の知に関する歴史を通じて物事がめまぐるしく展開する中、考え方の変化が驚くべき(そして良いこととは限らない)結果をもたらしたという見解を表します。

(2014/1/20 字幕公開)

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