2016/09/15

#21. 坂 茂: 紙で出来た避難所



翻訳ウラ話


日本人の英語を翻訳する際の“あるある”ですが、「たぶんこう言いたいんだろうけど、そこまで補ってしまっていいんだろうか」と迷うところがありました。過不足なく、できるだけオリジナルに近い内容で日本語に訳すよう心がけました。翻訳のための情報収集として、世界各地での坂さんのご活躍や実績についてたくさんの記事を読みましたが、どのプロジェクトもスジが通っていて、一貫して美しく、感動的でした。ここで紹介されている避難所は、最近でもエクアドルや熊本で被災者の救いになっています。



英語学習のヒント


日本人の講演者が、TEDxTokyoという日本でのイベントで行った講演です。日本の英語教室をはじめ、日本人同士が英語で話す場面はいまや珍しくありませんが、そこには独特のジレンマも生じますので学習環境として選択する際には注意してください。たとえば発音や語彙では、日本語を話さない人には聞こえない部分が聞こえ、英語として意味のわからないはずの部分がわかって、なんとなく通じてしまうということがあります。TEDの字幕翻訳でも、講演者の母語(この場合は日本語)を話さない人が書き起こした英語のトランスクリプトに講演者の意図する語や表現が反映されておらず、母語がわかる人がそれに気づいて修正を依頼するということがあります。これを良いと捉えるか、良くないと捉えるかはそれぞれの学習者の学習目的によります。

また、日本人は日本人の英語に非常に厳しく、減点法で評価をする傾向があります。「外国人相手に英語を話すのは構わないけど、一人でも日本人がいるとやりにくい」という学習者もいます。これは教育ではPeer pressureと呼ばれ、やはり良い面と良くない面があります。いわゆる「ネイティブ信仰」や完璧主義とも関わりがあります。

この講演では、日本語母語話者が、自分の伝えたい内容を伝えるのにじゅうぶんな英語を使って、棒読みでも丸暗記でもない自然な自分の言葉としてメッセージを発信しています。その姿からは学ぶべきところがたくさんあります。外国人にウケそうなジョークを良いタイミングで差し込むところなど、さすが国際的な場に慣れている方だなぁと感じさせます。人々が講演や講演者に対して魅力を感じるポイントは、決して英語の完璧さや流暢さではありません。


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坂 茂: 紙で出来た避難所

Japanese translation by Akinori Oyama, reviewed by Emi Kamiya

サステナビリティが盛んにささやかれるようになるずっと前から、建築家の坂 茂 は紙管や紙などの環境に優しい建材を使う実験を始めていました。彼の手による見事な建造物の多くは仮設住宅として、ハイチやルワンダ、そして日本などの被災地で全てを失った人々を救うために建てられました。しかし、こうした建造物が現地に溶け込み、当初の目的を果たした後も引き続き愛されているということがしばしば起きています。(TEDxTokyoにて収録)

(2013/11/9 字幕公開)

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