ラベル 説明力 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 説明力 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2016/11/06

#36. ナオミ・オレスケス: 科学者を信頼すべき理由



翻訳ウラ話


本来は科学の外にいる人向けに、科学が行っていることを解説する目的のレクチャーなのですが、立場上、いつの間にか「なぜ科学をやるのか」という聞き方をしていることに気づきました。研究者はときに自分がやっていることが何の役に立つのか、見失うものです。つい、PhD学生の間でよく知られるこちらの図解を思い出してしまいました。

訳については判断に迷うような部分はありませんでしたが、固有名詞や訳語、定訳の確認に手間がかかりました。これに限らず、分野を越えていつも思うことですが、同じモノや現象を指す用語でも、英語では一般的な語の組み合わせなどで比較的素人の想像が届きやすいのに対し、日本語では日常語と明確に隔てられていて、孤高で有標、使われ方が限定的ですね。たとえば「inductive/deductive」にしても、「帰納/演繹」よりずっと身近です。「専門用語然」としているところに、日本語の専門用語のありがたみがあるんでしょうか。



英語学習のヒント


英語そのものは複雑ではなく、口調など音声的にも学習に向かないわけではありませんが、とにかく専門用語や固有名詞が多い中で話題が次々に移っていくので、英語学習という面ではなにもこれを使わなくてもいいかな、というところです。日本語字幕をオンにして、全体の意味をつかんだうえで、気になる箇所があればそこに戻って、英語字幕やトランスクリプトでチェックする程度に留めておきましょう。スピーチのスタイルとしては、話の展開や例の出し方が上手いので、たとえばガイドや広報のように、なんらかの事柄について広く浅く説明する予定がある人にとっては参考になるかもしれません。


--------------------------------


ナオミ・オレスケス: 科学者を信頼すべき理由

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Misaki Sato

世界の重大な問題の多くは科学者の見解を必要としますが、なぜ私たちは科学者の言うことを信じるべきなのでしょうか。科学史の研究者であるナオミ・オレスケスは、私たちと信じることとの関係を深く考察し、科学研究に対する姿勢にまつわる3つの問題点を導き出します。さらに、私たちが科学を信頼すべき理由として、独自の根拠を示してくれます。

(2014/8/11 字幕公開)

2016/11/05

#93. アビゲイル・マーシュ: 人が利他的になる理由



翻訳ウラ話


個人的に日頃から読んだり話したりしている話題と重なるところが多く、点と点がつながるような感覚があったので翻訳に着手しました。今回は“ご本人吹き替え現象”は起きませんでしたが、内容がすとんと理解でき、外部資料を探す必要もなかったため、短時間であっという間に訳し終えました。



英語学習のヒント


確認したわけではありませんが、講演者は周りに非ネイティブが少ない環境にいるネイティブスピーカーだろうな、という印象を受けました。その意味では、日本であまり出会わないタイプの英語で、聞き慣れないために聞き取りにくいと感じる学習者もいるかもしれません。自分のリスニング力を責める必要はありませんよ。また、句や節が挿入された長めの文が多く、学習段階によってはかえって混乱することになりかねませんので、文法的な分析や読み込みはお勧めしません。一方、余裕のある学習者はそれを逆手にとって、英語トランスクリプトを使うなどして、「ネイティブらしさ」がどこにあるのか考えながら音声と文字情報を追ってみてください。

TED.comのページには視聴者からたくさんのコメントが寄せられており、この講演が多くの人にさまざまなことを考えさせるきっかけになっていることがわかります。ページの下の方までスクロールし、「Discuss」の中から特に返信が付いて議論になっているものを選び、それぞれの投稿者の立場や考え方の違いを読み取ってみましょう。賛成・反対を示す際の切り出し方をバリエーション豊かに知っておくと、実際に議論する場合に便利ですから、こうしたところから盗んでストックしておくといいですよ。また、議論に参加したつもりで自分の意見を書き、英語がわかる人にチェックしてもらうのも良い練習になります。


--------------------------------


アビゲイル・マーシュ: 人が利他的になる理由

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by nobuyuki umeji

自らの身を削ってでも他人を助けようとするなど、無私の行動をとれる人がいるのはなぜでしょう。心理学を研究するアビゲイル・マーシュは、赤の他人に腎臓を提供するドナーなど、極めて利他的な行為をする人々の動機を探っています。彼らは脳が違うんでしょうか?

(2016/11/4 字幕公開)

2016/09/20

#27. ウーリ・アロン: 真の革新的科学のために、未知の領域へ飛び込むことが不可欠な理由



翻訳ウラ話


この作品前後、私は集中的に翻訳に取り組んでいたせいか、字幕なしのビデオを初めて見たときに、日本語の吹き替えが聞こえてくるような感覚をもつようになっていました。講演者が、声や口調、タイミングはそのままに、日本語を話してくれるので、それをただ書き取るだけで翻訳ができあがるというわけです。おかげで1本の翻訳がわずか1-2日程度で完成していました。

全体としては大変わかりやすく話してくれているのですが、10:05あたりからの表現が一部わかりにくかったので、友人の生物学者に助けを求め、噛み砕いて解説してもらいました。マニアックな話を、そうとは気づかず織り込んでしまうのは、いかにも研究者です。



英語学習のヒント


講演者はイスラエルの科学者です。アクセントはありますが、ほとんど気にならないでしょう。役者の経験を持つだけあって、表情や表現が豊かで、説明が上手です。英語をひたすら勉強して、言語以外に頼らず伝えきるというのも立派ですが、彼のように科学・演劇・音楽など多彩なチャンネルを使って聴衆の心を掴み、メッセージを伝えるというのも、学習目標としてアリですよね。

この講演には気持ちを表す形容詞がたくさん使われています。英語字幕やトランスクリプトから拾ってみてください。辞書で意味を確認するだけでなく、講演の中での使われ方や描写を踏まえて具体的にイメージしたり、自分はどんなときにその感情を抱いたか思い出したりしてみましょう。そうやってイメージや気持ち、過去の体験と結びつけることで、新しい知識は脳にしっかりと記憶されるようになります。


--------------------------------


ウーリ・アロン: 真の革新的科学のために、未知の領域へ飛び込むことが不可欠な理由

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Makoto Ikeo

物理学を専攻し博士課程で研究していた頃、ウーリ・アロンは自分のことを失格者だと思っていました。どの研究も行き詰まっていたからです。しかし、即興劇に救われ、彼は迷いの中にも喜びがあるのだということに気づきました。研究を、疑問と答えをつなぐ直線と見るのを止め、もっとクリエイティブなものと考えるよう科学者たちに求めます。専門分野を越えて共感できるメッセージです。

(2014/7/7 字幕公開)

2016/09/15

#21. 坂 茂: 紙で出来た避難所



翻訳ウラ話


日本人の英語を翻訳する際の“あるある”ですが、「たぶんこう言いたいんだろうけど、そこまで補ってしまっていいんだろうか」と迷うところがありました。過不足なく、できるだけオリジナルに近い内容で日本語に訳すよう心がけました。翻訳のための情報収集として、世界各地での坂さんのご活躍や実績についてたくさんの記事を読みましたが、どのプロジェクトもスジが通っていて、一貫して美しく、感動的でした。ここで紹介されている避難所は、最近でもエクアドルや熊本で被災者の救いになっています。



英語学習のヒント


日本人の講演者が、TEDxTokyoという日本でのイベントで行った講演です。日本の英語教室をはじめ、日本人同士が英語で話す場面はいまや珍しくありませんが、そこには独特のジレンマも生じますので学習環境として選択する際には注意してください。たとえば発音や語彙では、日本語を話さない人には聞こえない部分が聞こえ、英語として意味のわからないはずの部分がわかって、なんとなく通じてしまうということがあります。TEDの字幕翻訳でも、講演者の母語(この場合は日本語)を話さない人が書き起こした英語のトランスクリプトに講演者の意図する語や表現が反映されておらず、母語がわかる人がそれに気づいて修正を依頼するということがあります。これを良いと捉えるか、良くないと捉えるかはそれぞれの学習者の学習目的によります。

また、日本人は日本人の英語に非常に厳しく、減点法で評価をする傾向があります。「外国人相手に英語を話すのは構わないけど、一人でも日本人がいるとやりにくい」という学習者もいます。これは教育ではPeer pressureと呼ばれ、やはり良い面と良くない面があります。いわゆる「ネイティブ信仰」や完璧主義とも関わりがあります。

この講演では、日本語母語話者が、自分の伝えたい内容を伝えるのにじゅうぶんな英語を使って、棒読みでも丸暗記でもない自然な自分の言葉としてメッセージを発信しています。その姿からは学ぶべきところがたくさんあります。外国人にウケそうなジョークを良いタイミングで差し込むところなど、さすが国際的な場に慣れている方だなぁと感じさせます。人々が講演や講演者に対して魅力を感じるポイントは、決して英語の完璧さや流暢さではありません。


--------------------------------


坂 茂: 紙で出来た避難所

Japanese translation by Akinori Oyama, reviewed by Emi Kamiya

サステナビリティが盛んにささやかれるようになるずっと前から、建築家の坂 茂 は紙管や紙などの環境に優しい建材を使う実験を始めていました。彼の手による見事な建造物の多くは仮設住宅として、ハイチやルワンダ、そして日本などの被災地で全てを失った人々を救うために建てられました。しかし、こうした建造物が現地に溶け込み、当初の目的を果たした後も引き続き愛されているということがしばしば起きています。(TEDxTokyoにて収録)

(2013/11/9 字幕公開)

2016/09/14

#20. ケリー・スウェイジー: 死してなお続く人生



翻訳ウラ話


固有名詞のカタカナ表記を除いて、訳に困った部分は特になく、短時間で一気に訳し終えた記憶があります。この作品のおかげで、それまで縁のなかったインドネシアの文化や風習について知ることができました。日本人の旅行記も意外とたくさん見つかりました。一般の旅行客が撮った写真を含め、ネット上の多くの画像から、色や質感、現地の空気がよく伝わってきてイメージしやすかったのも、翻訳作業が捗った理由だと思います。



英語学習のヒント


非常に聞き取りやすく、内容もわかりやすいので英語学習に使えそうです。講演者は異文化や外国語、英語が母語でない人に慣れているので、こうした話し方が板についているのでしょう。その意味では日本に住んでいる“ネイティブ”に近い印象です。

学習のアイディアとして、たとえばこの講演の形式やプレゼンテ―ションの仕方をお手本に、日本の文化について紹介するアクティビティをやってみてはどうでしょうか。「日本のことを知らない外国人は、日本のどこに興味を持つだろうか」と考えてネタを探し、それについて調べ、台本を書いて、スラスラ説明できるまで練習を繰り返します。ウィキペディアを読めばわかるようなものではなく、あなたならではの紹介の仕方を見つけてください。


--------------------------------


ケリー・スウェイジー: 死してなお続く人生

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Yuriko Hida

タナ・トラジャで人々を結びつける社会的行事は結婚や出産ではありません。インドネシアのこの地域で社会生活の中心となっているのは、盛大で賑やかな葬儀です。人類学者ケリー・スウェイジーは、親戚の遺体を何年にも渡り世話し続けるこの文化に注目しています。西洋の感覚からすると奇妙に感じられますが、実はこれこそが事実をより忠実に反映していると彼女は語ります。生きていることが終わっても、大切な人との関係は終わらないのです。(TEDMEDにて収録)

(2013/10/30 字幕公開)

2016/09/08

#17. ジョン・サール: 意識 ― 私達人間に共通するもの



翻訳ウラ話


言語学とコミュニケーション学を学んだ身としては「わ、speech actの人だ」という感じで素通りできず、ついタスクを取ってしまいました。…が、大変でした。訳しながら、わかったようなわからないような、わかったと思った途端にわからなくなるような体験をしました。特に8:50あたりでは何が「原因」に該当するのかがなかなか理解できず、他の担当者に図を描いて説明してもらいました。とほほ。

著名な研究者らしく、立場が非常に明確で、持論をどんどん展開していきます。「言いたいこと言っているなー」と感じられるところは、日本語でも遠慮のない表現を選ぶようにしました。



英語学習のヒント


TEDxCERN(欧州原子核研究機構で行われたイベント)という背景もあり、科学や研究などの知識を備えたオーディエンス向けの講義という雰囲気です。上述のとおり、内容が高度なので多少英語がわかる程度では太刀打ちできない部分があります。英語学習としては、理解できるところを拾う程度に留めておくことをお勧めします。


--------------------------------


ジョン・サール: 意識 ― 私達人間に共通するもの

Japanese translation by Kazunori Akashi, reviewed by Emi Kamiya

哲学者ジョン・サールが意識の研究を擁護する主張を展開します。また、真剣な意識の研究に対する反論を体系的に論破していきます。認識の原因となる脳内の処理過程がわかるにつれて、意識を生物学的現象と考えることが重要になります。またサールは、意識を大規模なコンピュータ・シミュレーションと捉える意見を否定します。(TEDxCERNにて収録)

(2013/9/21 字幕公開)

#16. マーガレット・ヘファーナン: 「意図的な無視」の危険性



翻訳ウラ話


"willful blindness"の意味を正しく、しかもタイトルを含めキーワードとしてふさわしいように訳すために頭をひねりました。すでに出版されていた著作の訳本で使われている「見て見ぬふり」は便利で良さそうなのですが、担当者間で「ちょっと違うよね」という話になりました。「見ないようにする」と「見なかったことにする」とは別と判断し、やや苦しいのですが「意図的な無視」を選択することにしました。



英語学習のヒント


初心者向けではありませんが、日本のいわゆる“教材”に物足りなさを感じている学習者にはちょうどいいかもしれません。発音が明瞭で、語り手として技術が高いので音声面でもいろいろな使い道がありそうです。あるいは読み・書きを強化するために、以下のようなアイディアを試してみてはどうでしょう。

TEDのページの下の方にある"Discuss"のコーナーには、視聴者が講演内容を自らの経験と絡めて多くのコメントを書き込んでいます。いくつか読んでから、同じように自分の経験と絡めてコメントを書いてみましょう。
講演者のプロフィールページから、リンク先の関連記事を読んでみましょう。
③この講演の元になっている著作に挑戦してみましょう。読破できたら、きっと達成感と自信が得られます。

①~③は、この講演者の他の講演でもできます。


--------------------------------


マーガレット・ヘファーナン: 「意図的な無視」の危険性

Japanese translation by Kazunori Akashi, reviewed by Emi Kamiya

ゲイラ・ベネフィールドは仕事中にある異変に気づき、やがて自分の住む町の恐ろしい秘密を暴いてしまいました。彼女の町はアメリカのどの場所よりも死亡率が高く、80倍にも上っていたのです。しかしそれ以上に彼女が衝撃を受けたのは、住民にそれを伝えようとした時でした。人々がその事実を知りたがらないのです。マーガレット・ヘファーナンは、歴史の教訓とも活動の呼び掛けとも呼べるこの話を通して、「意図的に無視すること」の危険性に警鐘を鳴らすとともに、自ら声をあげた普通の人々を讃えます。(TEDxDanubiaにて収録)

(2013/9/14 字幕公開)

2016/09/04

#13. ビル・ゲイツ: 教師へのフィードバックでもたらせる変化



翻訳ウラ話


教育というテーマに、「コーチ」「フィードバック」「録画」「振り返り」というKECでお馴染みの概念が絡んでいたので、ぜひ翻訳したいと思いました。悩まされたのはキーワードである "satisfactory" という表現です。「優良可」のように並べてならともかく、単独で出てくるのでどう訳したものか困りました。ダメではなく、そうかと言ってすごく褒めているでもなく、評価としてピンと来ない感じを出すために担当者間で議論を重ね、「よくできました」「ふつう」「まあ良し」などの案を出したうえで、最終的に「十分」を選択しました。



英語学習のヒント


みなさんよくご存じのビル・ゲイツの講演です。アメリカの有名経営者らしく、大勢を前にいかにも慣れた様子で、誰にでもよくわかる話し方をしています。「教室」や「教師」は身近な話題なので、内容も理解しやすいでしょう。途中で出てくる高校の先生の英語も聞き取りやすいです。学習用教材としていろいろな使い方が考えられます。ほとんどの文は短く構文的にも複雑ではありませんから、トランスクリプトを使って翻訳をしてみたり、音読をしながらビデオの音声を確認したりしても良いでしょう。リーディングには、たとえばビデオを見た後でこちらの関連記事を読むと、より理解が深まります。「ニューヨーク・タイムズ紙の記事が読めた」という自信がつくのではないでしょうか。講演の内容を要約したり、感想や自分の意見を書いてみたりすると、ライティングの練習にもなります。

いずれの学習も、やりっ放しではなく、自分で振り返ったりフィードバックをもらったりすることができるとより効果的です。


--------------------------------


ビル・ゲイツ: 教師へのフィードバックでもたらせる変化

Japanese translation by Yasushi Aoki, reviewed by Emi Kamiya

最近まで、教師が受けられる唯一のフィードバックは、年に一度の「十分」という一言だけでした。フィードバックや指導がなければ改善しようがありません。優れた教師でも適切なフィードバックによって改善できるところはあるとビル・ゲイツは言います。そしてそのようなフィードバックをすべての教室にもたらそうというビル&メリンダ・ゲイツ財団のプロジェクトを紹介しています。

(2013/8/4 字幕公開)

2016/08/27

#10. キース・チェン:言語が貯蓄能力に与える影響



翻訳ウラ話


言語と貯蓄率を結びつけるという発想がおもしろいと思い、翻訳してみました。英語に比べ、日本語では一般的な語と専門用語をくっきり分ける傾向があるので、「経済用語かな?」と思われる語は友人の日本人経済学者に確認しながら訳を完成させました。この作品に限らず、私が「専門用語かも」と思って専門家に尋ねると、一般的な語と同じ使われ方で、返ってきた回答は“普通”の訳…ということがよくあります。訳語の確認は辞書やネット検索などでおこないますが、“普通”の訳は専門用語ほど簡単に調べがつかないので、慎重にならざるを得ないのです。英語から日本語へ用語を取り入れる方法には、「特別な訳語を作って専門用語化する」「一般的な訳を当てる」「カタカナにする」などの選択がありますが、そのパターンは分野ごとに偏りがあるような気がします。



英語学習のヒント


講演者は英語と中国語のバイリンガルで、経済学の若手プロフェッサーです。きびきびした口調、テンポが良くやや早口で、畳みかけるように進むプレゼンテーションは、ビジネス系の分野ではお馴染みの特徴ではないでしょうか。ビジネス系で大学院への留学などを目指す学習者は、字幕がなくても内容が理解できるよう、この講演をトレーニングに利用しましょう。一方、日本国内での趣味の英会話はもちろん、いわゆる語学留学程度を予定している学習者は、聞き取れなくても気にしないことです。無理せず、日本語字幕で内容をつかんでください。

TEDのページに寄せられている、この講演に対しての視聴者からのたくさんのコメントは、批判的思考の練習に使えそうです。言語、統計の面で、それぞれどんなツッコミがなされているかまとめてみましょう。グループでの協働学習が可能なら、投稿されているコメントの妥当性を話しあったり、自分たちでコメントを書いて評価しあったりするのも良いでしょう。


--------------------------------


キース・チェン:言語が貯蓄能力に与える影響

Japanese translation by Tomomi Anzai, reviewed by Emi Kamiya

経済学者が言語学の分野から学べることとは?行動経済学者キース・チェンが自身の研究から見出した興味深いパターンを紹介します。未来の概念のない言語("It will rain tomorrow" ではなく "It rain tomorrow" が許容される言語)と高い貯蓄率の間には強い相関関係があるのです。

(2013/5/9 字幕公開)

2016/08/25

#8. アンドレア・シュライヒャー 「データに基づく学校改革」



翻訳ウラ話


偶然同じ時期に私が携わることになった「教育の未来」がテーマの講演、第2弾です。講演者は日本でもよく知られる教育指標事業PISA (Programme for International Student Assessment)(参照)の責任者。ドイツ人が語る、教育統計の国際比較です。切り口はずいぶん違いますが、第1弾との共通点がかなりあります。



英語学習のヒント


ヨーロッパ人の英語に慣れていないと、聞き取りにくいと感じるかもしれません。アクセントや文末の処理の仕方が、日本のリスニング教材等で聞く英語とは違うからです。表情も豊かとは言いがたいので、ちょっと怖いと感じる人もいるでしょうか。文化の違いもありますが、私はこの講演者の口調や表情が、講演の内容や説明の仕方によく合っていて、説得力を増しているように思います。日本人向けのスピーチ練習はアメリカをお手本にしているものが多いですが、世界にはこういうやり方もあるということで、参考にしてください。

教育の研究や統計に馴染みがないと、語彙や内容理解の面でちょっと厳しいかもしれません。無理せず日本語字幕を利用して、内容がわかってから英語に移ることをお勧めします。

こうした統計報告は大きな関心を集める一方、どうしても物議を醸すものです。TEDのページには視聴者からたくさんのコメントが寄せられています。いくつか読んでから、自分だったらどんなコメントを残すか考え、1パラグラフ書いてみましょう。


--------------------------------


アンドレア・シュライヒャー 「データに基づく学校改革」

Japanese translation by Kazunori Akashi, reviewed by Emi Kamiya

教育システムが機能する要因を捉える方法はあるでしょうか。アンドレア・シュライヒャーが紹介するのは、世界規模の学力テストPISAです。このテストでは各国の順位が示されるだけでなく、データをよりよい学校づくりのために活用することができるのです。自分が住む国や地域の順位を見ながら、優れた成績をあげる要因について学びましょう。

(2013/4/23 字幕公開)

2016/08/21

#5. ジュリー・バースティン「創造力を育む4つの教訓」



翻訳ウラ話


陶芸、文学、映画、絵画、彫刻、写真と、芸術の範囲内で話題が次々に飛ぶので、語彙や訳語、人名の日本語(カタカナ)表記の確認に追われました。一部、最後まで事実確認がとれなかった箇所がありましたが、講演者の意図するエンターテイメント性を重視してそのまま残しました。芸術に造詣の深い話者の、自らの感動を共有したいという想いを載せた口調を、できるだけ日本語にも反映するよう心がけました。



英語学習のヒント


講演者はラジオ・パーソナリティでインタビュアーというだけあって、これぞ「聴かせる英語」という雰囲気です。発音は明瞭、速度もほどよく、抑揚がしっかりめについているので、聞き取りやすいでしょう。講演の構成としても、具体的なエピソードで聴衆を惹きつけ、情感あふれる描写で聞いている人の頭の中に風景や色、におい、質感などを想像させるテクニックはさすがです。日本語、英語にかかわらず、人前で話す機会がある人にとっては参考になるでしょう。

英語そのものは難解ではありませんが、芸術、歴史、地理などの背景知識がないとちょっと筋を見失ってしまうところがあるかもしれません。 Transcriptをさらっと読んだだけだと、わかったようなわからないような感じになりそうです。わからなくなったらパラグラフの最初に戻り、1文ずつ丁寧に読みなおすようにしてみましょう。さらっと読んだときには見逃していた発見があるかもしれませんよ。


--------------------------------


ジュリー・バースティン「創造力を育む4つの教訓」

Japanese translation by Hitomi Takimizu, reviewed by Emi Kamiya

ラジオ司会者のジュリー・バースティンはクリエイティブな仕事をする人々と対談しています。課題や自己不信、喪失に直面しながらも、そこから創造力を働かせた人たちが伝える4つの人生訓を紹介します。映画監督ミーラー・ナーイル、作家リチャード・フォード、彫刻家リチャード・セラ、写真家ジョエル・マイエロヴィッツの話を聞いてみましょう。

(2013/3/11 字幕公開)

2016/08/15

#79. 学び方を学ぶ | バーバラ・オークリー | TEDxOaklandUniversity



翻訳ウラ話


高度な内容を、わかりやすく、穏やかな口調で語る講演者の雰囲気を大切に訳すことを心がけました。軍隊、地理、言語、神経科学、ゲーム、芸術、教育など、話題が多岐にわたるため、訳語の確認をこまめにおこないました。



英語学習のヒント


ゆっくり丁寧に話してくれるので、比較的聞き取りやすいのではないかと思います。ただ、たとえば字幕なしでチャレンジすると、「なんとなくわかるけど、よくわからない」ということになるかもしれません。ガッカリしなくて大丈夫ですよ。英語は平易でも、内容が高度なのですから仕方ありません。日本語で意味を確認してから聞き直すと、よくわかるようになると思います。

英語で研究発表をするなど、ご自分の専門について話す機会がある人にとっては、複雑な内容をわかりやすく説明し、聞き手に伝わる工夫をするためのお手本になりそうですね。


----------------------------------------------


学び方を学ぶ | バーバラ・オークリー | TEDxOaklandUniversity

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Mai Ohta

工学部の教授バーバラ・オークリーは自らの体験から、数学に苦労する感覚を知っています。彼女は高校の数学や理科では赤点を繰り返し、卒業後すぐに米陸軍に入隊しました。軍隊で昇進するにしろ他のキャリアを探すにしろ、数学の能力やテクノロジーへの理解が欠けているせいで、選択肢が大いに狭められていることに気づいた彼女は、新たな決意を胸に学問の世界へ戻ります。自分がずっと悩まされてきた、まさにその課題を極めるため、自分の脳を鍛え直すことにしたのです。

(2016/5/8 字幕公開)