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2016/11/09

#94. 義務でする交流なんて要らない | キャロライン・ マグロー | TEDxBirminghamSalon



翻訳ウラ話


コーチングセッションの中で「忙しくて学習時間が取れない」「どこから手を付ければいいかわからない」というようなご相談を紐解いていくと、それぞれの「線引き」や「優先順位」の問題につながってくることがあります。限られた時間やエネルギーを、どこにどれだけ使うかは本人次第なのですが、それに気づくのは簡単ではないのかもしれません。こうした講演が、日常生活のちょっとした習慣を変えていくきっかけになればいいなと思います。



英語学習のヒント


この講演で出てくる「owe」や「miss」は、英語としては基本的な部類で非常によく使われる動詞ですが、日本語に訳そうとすると意味がとりにくいものです。そのためか、日本人学習者が発する英語の中ではあまり見かけません。読む・聞くというreceptiveな場面では「なんとなくわかるけど、よくわからない」、書く・話すというproductiveな場面では「使えない」「使うのに勇気が要る」となっているのかもしれませんね。「owe」「miss」の他に、英語では頻出でも日本人にとって使いにくい動詞としてパッと思いつくのは「deserve」「matter」「afford」などでしょうか。

このような動詞をきちんと理解するには、日本語訳と英語の両面から、できるだけ多くの例文に当たることが大切です。まずは辞書を引くことですが、最初に出てきた意味をチラッと見ただけでわかったつもりになってしまうと、このタイプの語は習得できません。語義、例文を丁寧に読み、その語が持つ“守備範囲”をつかみましょう。次に、ターゲットの語が使われている前後の文脈を探します。ネット検索が便利ですが、ターゲットの語単体で探してもうまく行きませんし、「+sentence」のようなキーワードでは文レベルの例しか見つかりません。そこで、辞書で得た情報から、一緒に使われている可能性の高い語を見繕ってキーワードにします。たとえば「owe」なら「+responsibility」「+relation」「+favor」などと合わせて探す、という具合です。どんな語と組み合わせるとよいか考えることで、言語センスも磨かれていきます。


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義務でする交流なんて要らない | キャロライン・ マグロー | TEDxBirminghamSalon

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Riaki Poništ

この短い講演では、ライターのキャロライン・ マグローが、自身が執筆し、大きな反響を得て広まったブログ記事にまつわる問題を語ります。過度に他人とつながりやすい現代社会で、自らのエネルギーを使い果たすことなく、なおも他者に与える方法について、マグローのアイデアを聞いてみましょう。

(2016/11/8 字幕公開)

2016/10/08

#32. ルース・チャン: 難しい選択の仕方



翻訳ウラ話


英語学習の方法を中心に、日々さまざまなご相談を受ける中で、「選択する」ということを避ける動きをよく見かけます。変わりたいけれど変われない、何か思いついても最初の一歩が踏み出せない人には、自分で選択をする代わりに、お金がない、時間がない…などの外的な理由を並べて、「だからできない」という結論で落ち着こうとする傾向があります。でも実は「選択しない」というのも選択のうちなんですよね。コーチの仕事は、選択の難しさや選択する辛さに共感しながら、「難しくて辛いけど、逃げないで選択しよう」という気持ちになれるよう、後押しすることなのかもしれません。日本語字幕によってより多くの人にこの講演を見ていただけるといいなと思って訳しました。



英語学習のヒント


発音は明瞭、スピードはゆっくり、文は短くてシンプルなので、学習用としていろいろな使い道があると思います。語彙もやさしく、絵やジェスチャーの助けもあるので、字幕オフで、メモを取りながら視聴してみてください。メモは英語でも日本語でも、記号や図でも構いません。仮説を立てては論破する、というのが繰り返されていますので、その1つ1つについて、「仮説」と「ダメな理由」をなるべく詳しく書き取ります。追いつけなくなったら多少戻したり止めたりしても良いですが、できるだけ止めずに進みましょう。見終わったらメモをもとに講演内容を再構築し、英語で書き出します。書き終わったらトランスクリプトと見比べて、文法や表現を含めて自分で添削してみましょう。


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ルース・チャン: 難しい選択の仕方

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Tadashi Koyama

このトークであなたの人生は本当に変わるかもしれません。どちらの職業を選ぼうか?別れるべきか、結婚するべきか?どこに住もう?こうした重要な決断は難しく、なかなか決められないものです。しかしそれは考え方が間違っているからなのだと、哲学者のルース・チャンは言います。彼女が提案するのは、本当の自分を確立するための、説得力のある新たな枠組みです。

(2014/7/30 字幕公開)

2016/09/29

#89. サルマン・カーン: 点数ではなく身に付けることを目指す教育



翻訳ウラ話


教育関係者なら誰もが知る、カーン・アカデミーのサルマン・カーンの講演です。内容はこれまでにも繰り返し主張されてきたとおりですが、今回は新たな喩えを使ってより伝わりやすく説明しています。

Flipped Classroom(反転授業)が広がりつつあるアメリカに比べ、日本では展開が遅いような印象があります。さまざまな思惑や物理的、感情的な事情はあるのでしょうけれど、そうこうしているうちに、学習者の時間がどんどん過ぎていってしまうのは惜しいような気がします。こうした講演の字幕や翻訳が、個別の習得型学習についての理念を正しく伝え、建設的な議論を起こすための一助になればいいなと思います。



英語学習のヒント


講演の内容は学習者や教育者にとって大いに有益ですが、この講演そのものを英語学習に使うとなると、なにもこれを選ばなくてもいいかなという感じです。発音、語彙、文法の面で、全体的にゆるいところがあるので、英語学習向きではありません。パブリック・スピーキングの面では、喩えのうまさ、聴衆を惹きつける魅力という点で学ぶところがあるかもしれません。

カーン・アカデミーには日本語版もあります(参照)。日本語・英語版ともに数学のビデオが圧倒的多数ですが、英語版には英文法のビデオもあります(参照)。学習者の中で、文法が得意で、基礎がきちんと固まっている人は、こうしたビデオを使うと自分の知識がすっきり整頓されていく感覚を楽しめると思います。一方、文法が苦手な学習者はかえって混乱することになりかねませんので、まずは日本語で書かれた良質な文法書を使って、シンプルな文、基本的な項目からきちんと抑えるようにしてください。基礎から丁寧に、じっくり、しっかりと固めましょう。「穴」があいたまま次の項目を積み上げてはダメですよ。


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サルマン・カーン: 点数ではなく身に付けることを目指す教育

Japanese translation by Yasushi Aoki, reviewed by Emi Kamiya

未完成の土台の上に家を建てようと思いますか? もちろんそんなことはしないでしょう。それならどうして教育においては、まだ基礎が出来ていないうちに先へと進めてしまうのでしょう? 難しい問題ですが、教育者のサルマン・カーンが、自分のペースで習得していくのを助けることで落ちこぼれつつある生徒を好学の士へと変えられるプランを話してくれます。

(2016/9/29 字幕公開)

#88. 脳を動かそう ― 脳の性能を上げる7つの秘密 | サンドラ・ボンド・チャップマン | TEDxBayArea



翻訳ウラ話


「7つの秘密」のうち少なくとも5つは、KECのコーチングセッションでしょっちゅうお伝えしているポイントです。一般的に私たちは自分の脳のキャパシティーを過信してあれもこれもと欲張り、結局、実のある学習のチャンスを逃してしまいがちです。良くないとわかっていてもついやってしまうのではないでしょうか。脳の習慣を変えるというのは簡単ではありません。「変わりたい」と望む学習者が、私たちコーチやこうしたビデオをリマインダーとして使いながら、自分で自分の学習をきちんとコントロールできるようになってくれたらいいなと思います。



英語学習のヒント


講演者はゆっくりした話し方で発音も明瞭なので、リスニング用に使うと良いかもしれません。字幕をオフにして、全体的な内容がつかめればOKです。ただ、幼い子どもに話しかけるような口調なので、その口調がキャラに合わない学習者は話し方がうつらないよう気をつけてください。

トランスクリプトの読み込みなどには向きません。文法的にふわっとした部分がいくつかあるため、学習段階によってはかえって戸惑うことになるからです。講演内容を文章で確認したい場合にはこちらのインタビュー記事などを読むことをお勧めします。


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脳を動かそう ― 脳の性能を上げる7つの秘密 | サンドラ・ボンド・チャップマン | TEDxBayArea

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Masaki Yanagishita

脳の病気にはなぜ忌まわしい烙印が押されるのでしょう? 脳は、史上最強の、他の何よりも圧倒的に複雑な電子生化学的マシーンであるということを考えてください。最近まで、この複雑な器官は静的で、変えることもできないと思われていました。大間違いです。科学的に有効性が認められた7つの秘密を学びましょう。脳のパフォーマンスを良くするために、誰でも実行できる秘密です。

(2016/9/28 字幕公開)

2016/09/21

#28. ローガン・ラプラント「ハック・スクーリング:ハッピーになるための教育」(TEDxUniversityofNevada)



翻訳ウラ話


YouTubeで公開されて以来、アメリカではFacebookなどで"viral"と呼ばれる広まり方を見せ、大きな話題になっていた講演です。日本語字幕はそれから1年以上もお待たせしていた状態でした。この経験をきっかけに、それまでの、翻訳タスクが自然に舞い込んでくるのを待つという姿勢を見直し、気になる講演に日本語字幕が付いていないのを見つけたら、自ら働きかけてなるべく早めに翻訳しようと思うようになりました。

講演者の13歳という年齢と、原文の雰囲気にできるだけ見合う表現を日本語でも再現できるように工夫しました。スキーやスノーボード用語、雪に関する語は日本語で知らなかったものが多く、勉強になりました。



英語学習のヒント


堂々とした魅力的な講演ではありますが、英語学習に使うとなると話は別です。これに限らず、子どもが話す言語を成人の言語学習に使うことには無理があるでしょう。たとえあなたが13歳でも、ESL環境にいるとしても、子どもを相手に英語を話す必要に迫られていても、英語学習という目的に限っては、大人の話す英語を使って学習することをお勧めします。

発音が聞き取れなかったり、意味がわからないところがあっても決して落ち込まないでください。あなたの英語力のせいではありません。

往々にして子どもは発音が甘く、母語話者でも聞き取りにくいことがあります。これは発達段階の子どもの口腔内に言葉を話すのに向かない構造的な特徴があり、舌や唇の使い方もまだ上手ではないせいです。また、子どもは周囲の人の言葉づかいを真似て言語を獲得していきますが、社会行動の範囲が狭いので、たとえば方言や身内だけで通じる用語などがどの範囲までの人になら理解され、どこを超えると理解されないかの判断がつきません。このように考えると、自分の母語を外国語として学習してきた人に対し、相手にわかる話し方をするというのがいかに高度なことか実感できるのではないでしょうか。


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ローガン・ラプラント「ハック・スクーリング:ハッピーになるための教育」(TEDxUniversityofNevada)

Japanese translation by Sumie Ichizaki, reviewed by Emi Kamiya

なぜ学校では幸せや健康になることを教えないのでしょう。13歳のローガン・ラプラントは、自分が考えた「ハック・スクーリング」によって、重要かつ最も意義深い「幸せになる」という気持ちに子どもたちを導くことができると主張します。多くの大人は、子供は大きくなったら幸せになって当たり前と思いがちですが、それは違うとローガンは訴えます。幸せや健康になるというのは、何よりも優先されるべきことなのです。

(2014/7/10 字幕公開)

2016/09/19

#25. アン・カーザン: 言葉が「本物」になる条件



翻訳ウラ話


私は英語や日本語について、調べたり考えたり教えたりするのが日常ですが、私の興味は一貫して「何が正しいか」より「いま、何が使われているか」にあります。というわけでこの講演は個人的に身近に感じられ、あっという間に楽しく訳し終えました。「最近の言葉の乱れは目に余る」というのは、いつの時代にも、おそらくどの言語でも言われていることなんでしょうね。



英語学習のヒント


聞き取りやすさは標準的で文も複雑ではありませんから、いろんな学習に使えそうな講演ですが、せっかく「word」がテーマなので、単語に焦点を当ててみてはどうでしょう。実際、キーワードがわからないと話についていけず、会場の笑いにも乗り遅れてしまうので、内容理解のためにも意味を確認しておくといいですよ。普通に辞書を引いてもいいのですが、この講演で紹介されている単語をもとに自分で英英辞典を手作りすると、意味を見て暗記するのと違い、語義の英語からさらに語彙や表現が学べます。やり方は学習者のレベルに応じていろいろ考えられますが、たとえば以下のような方法があります。

①ノートを用意し、英語字幕やトランスクリプトから、「defriend」「hangry」「adorkable」のように、見出し語だけを拾って記入する。 ②講演者の説明を頭の片隅に起きながら、自分なりに考えて、意味・定義を書き入れる。 ③辞書やインターネットを使って確認し、実際の意味・定義を書き入れる。 ④見出し語を使って例文を作る。

講演の中の単語が終わったら、次にAmerican Dialect Societyのページへ行って、最近の「今年の単語」についても同じように見出し語と語義を書き出し、例文を作ってみましょう。語義の中にわからない単語があったらそれを見出し語に立てて、辞書を引いて語義を記入していきます。ポイントは見出し語よりも語義です。簡潔に説明する感覚を養いましょう。

ちなみに、2015年の「今年の単語」はこちらのTalkと関連がありますよ。


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アン・カーザン: 言葉が「本物」になる条件

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Ricky Park

「hangry」「defriend」「adorkable」 などの俗語は、たとえ辞書に載っていなくても、英語という言語の意味における重大な不足を補っていると言えます。結局のところ、どの語を辞書に収録するか決めているのは誰なのでしょう?歴史言語学者のアン・カーザンは、辞書作りの舞台裏にいる人たちに目を向け、彼らが絶えず行っている選択を魅力的に紹介してくれます。

(2014/6/29 字幕公開)

2016/09/15

#21. 坂 茂: 紙で出来た避難所



翻訳ウラ話


日本人の英語を翻訳する際の“あるある”ですが、「たぶんこう言いたいんだろうけど、そこまで補ってしまっていいんだろうか」と迷うところがありました。過不足なく、できるだけオリジナルに近い内容で日本語に訳すよう心がけました。翻訳のための情報収集として、世界各地での坂さんのご活躍や実績についてたくさんの記事を読みましたが、どのプロジェクトもスジが通っていて、一貫して美しく、感動的でした。ここで紹介されている避難所は、最近でもエクアドルや熊本で被災者の救いになっています。



英語学習のヒント


日本人の講演者が、TEDxTokyoという日本でのイベントで行った講演です。日本の英語教室をはじめ、日本人同士が英語で話す場面はいまや珍しくありませんが、そこには独特のジレンマも生じますので学習環境として選択する際には注意してください。たとえば発音や語彙では、日本語を話さない人には聞こえない部分が聞こえ、英語として意味のわからないはずの部分がわかって、なんとなく通じてしまうということがあります。TEDの字幕翻訳でも、講演者の母語(この場合は日本語)を話さない人が書き起こした英語のトランスクリプトに講演者の意図する語や表現が反映されておらず、母語がわかる人がそれに気づいて修正を依頼するということがあります。これを良いと捉えるか、良くないと捉えるかはそれぞれの学習者の学習目的によります。

また、日本人は日本人の英語に非常に厳しく、減点法で評価をする傾向があります。「外国人相手に英語を話すのは構わないけど、一人でも日本人がいるとやりにくい」という学習者もいます。これは教育ではPeer pressureと呼ばれ、やはり良い面と良くない面があります。いわゆる「ネイティブ信仰」や完璧主義とも関わりがあります。

この講演では、日本語母語話者が、自分の伝えたい内容を伝えるのにじゅうぶんな英語を使って、棒読みでも丸暗記でもない自然な自分の言葉としてメッセージを発信しています。その姿からは学ぶべきところがたくさんあります。外国人にウケそうなジョークを良いタイミングで差し込むところなど、さすが国際的な場に慣れている方だなぁと感じさせます。人々が講演や講演者に対して魅力を感じるポイントは、決して英語の完璧さや流暢さではありません。


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坂 茂: 紙で出来た避難所

Japanese translation by Akinori Oyama, reviewed by Emi Kamiya

サステナビリティが盛んにささやかれるようになるずっと前から、建築家の坂 茂 は紙管や紙などの環境に優しい建材を使う実験を始めていました。彼の手による見事な建造物の多くは仮設住宅として、ハイチやルワンダ、そして日本などの被災地で全てを失った人々を救うために建てられました。しかし、こうした建造物が現地に溶け込み、当初の目的を果たした後も引き続き愛されているということがしばしば起きています。(TEDxTokyoにて収録)

(2013/11/9 字幕公開)

2016/09/08

#18. ケン・ロビンソン: 「教育の死の谷を脱するには」



翻訳ウラ話


「TEDと聞いて、真っ先に思い浮かぶのはこの人」という視聴者も多いのではないでしょうか。解説の必要はありませんね。字幕公開から2年半が経った2016年春には、実際にDeath Valleyで約10年に一度のSuper bloomが起きました(参照)。そのニュースを聞いて、改めてこの講演を見返したのでした。



英語学習のヒント


イギリス英語、イギリス人らしいジョークの織り交ぜ方、しかもアメリカでアメリカ人を相手に話しているという点に注目してください。英語母語話者同士の異文化間コミュニケーションが感じられるでしょうか。

英語は聞き取りやすく、理解しやすいものです。使われている語も基本的なものが多いので、もし知らない語があったらきちんと辞書を引いて覚えておきましょう。記憶は一度見ただけではなかなか定着しませんから、たとえば新しい単語なら、意味を調べてイメージする、文字を見ながら発音する、文字を見ないで発音する、文を作る、作った文を読む、会話の中で使う…というように、いろんな角度から脳に刺激を与えるようにしてください。

インターネットのおかげで、学ぶ機会や教材はいくらでも手に入るようになりました。講演者が勧めている「読みものリスト」も良質なものがそろっていますよ。学習者にとっては、自分で自分の創造力を開花させるチャンスがいつでもどこにでもあるということです。ただし英語学習に関する情報は玉石混淆でもありますから、質の高いもの、自分の目的や個性に合ったものをしっかり見極めて、労力や時間をムダにしないようにしてください。KECは自分の可能性を信じて学び続けようとする学習者を応援しています。


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ケン・ロビンソン: 「教育の死の谷を脱するには」

Japanese translation by Yasushi Aoki, reviewed by Emi Kamiya

人の精神が豊かに花開くために必要な3つの条件と、現在の教育風土がいかにそれに反したものであるかをケン・ロビンソン卿が語ります。可笑しくも心動かされるこの講演で彼が示すのは、私達の直面している教育の「死の谷」をどうすれば脱することができるのか、どうすれば若い世代を可能性の土壌で育むことができるのかということです。

(2013/10/3 字幕公開)

2016/08/26

#9. BLACK 「ヨーヨーの達人への道」



翻訳ウラ話


日本人の講演ということで、「こう言おうとしてるんだろうな」というのが痛いほど伝わってくるのですが、あまり補い過ぎないように気をつけて訳しました。字幕公開後、ご本人から「まさに言いたかったとおりに訳されていて、本当に嬉しい」というメッセージをいただいたときには、心底ホッとしました。



英語学習のヒント


英語の母語話者でも、ネイティブ並みの英語力をもつ人でも、TEDのメインステージに立つというのは大変なことです。TEDキュレーターのクリス・アンダーソンが最近、TEDトークの指針を紹介しましたが(参照)、もっとも重要なアイディアの伝達に加えて、「日本人でもこんな堂々としたスピーチができる」という姿が示されていることは、学習者の励みになるのではないでしょうか。

英語はきちんと用意されており、何度も練習したであろうことが伝わってきます。自信がないと、どうしても小声になったりごまかしたりしたくなりますが、実はそのせいでより伝わりにくくなり、また自信を失うという悪循環を招きます。聞き手に敬意を払い、相手の目を見て、文末まではっきり言う。そういう誠意が感じられると、聴衆はちゃんと応えてくれるものです。

同じ日本人学習者として、日本人の話す英語を聞く際の姿勢にも注意しましょう。アラ探しより良いところを見つけ、学ぶべきところを盗んだ方が、上達に近づきますよ。


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BLACK 「ヨーヨーの達人への道」

Japanese translation by Yasushi Aoki, reviewed by Emi Kamiya

ヨーヨーをただ回らせるだけでも四苦八苦していた日を覚えていますか? うまい人なら「犬の散歩」もできたかもしれませんね。でも、あなたはまだ本当のヨーヨーを知りません。日本から来たヨーヨー世界チャンピオンのBLACKが、人生の情熱を見出した心に響く話とともに、息をのむパフォーマンスをお目にかけます。これを見たら、引き出しの奥からまたヨーヨーを引っ張り出そうという気になるかもしれません。

(2013/4/25 字幕公開)

2016/08/15

#78. 批判的思考を向上させる5つのコツ — サマンサ・アグース



翻訳ウラ話


ナレーターが台本を読むTED-Ed の翻訳は、一般的なTED Talks より取り組みやすいものですが、ちょっと厄介な特徴の1つに、「訳し上げ」(後ろから前へ訳すこと)が許されない場合が多いというのがあります。訳し上げた方が日本語として自然だと思えるような部分でも、それをすると、字幕の内容がアニメーションに合わなくなってしまうからです。映像とのズレを最小にして、かつ日本語として不自然にならないよう、ところどころ工夫してあります。



英語学習のヒント


英語は比較的やさしく、内容もわかりやすいうえにアニメーションの助けがあるので、とっつきやすいビデオだと思います。まずは字幕なしで全体を理解し、次に英語字幕を見ながらメモをとると良いでしょう。知らない単語は辞書で確認しましょう。ただし、トップの語義をさっと見ただけですぐ納得してはダメですよ。「待てよ、その意味でいいのかな」と“批判的”になるのを忘れないでください。

日本では英語教育を通じて批判的思考を養おうという動きが活発になってきています。具体的にどんな取り組みがなされているか、ご興味のある方はこちらをどうぞ。


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批判的思考を向上させる5つのコツ — サマンサ・アグース

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Naoko Fujii

私たちの日常は決断を迫られる場面にあふれており、常に完璧な選択をすることは不可能です。しかし、良い選択をする確率を上げる方法はたくさんあり、中でも特に効果的なのは批判的思考です。サマンサ・アグースが説明する5段階のプロセスで、問題がいくらでも解決できるようになるかもしれませんよ。

(2016/4/30 字幕公開)

#79. 学び方を学ぶ | バーバラ・オークリー | TEDxOaklandUniversity



翻訳ウラ話


高度な内容を、わかりやすく、穏やかな口調で語る講演者の雰囲気を大切に訳すことを心がけました。軍隊、地理、言語、神経科学、ゲーム、芸術、教育など、話題が多岐にわたるため、訳語の確認をこまめにおこないました。



英語学習のヒント


ゆっくり丁寧に話してくれるので、比較的聞き取りやすいのではないかと思います。ただ、たとえば字幕なしでチャレンジすると、「なんとなくわかるけど、よくわからない」ということになるかもしれません。ガッカリしなくて大丈夫ですよ。英語は平易でも、内容が高度なのですから仕方ありません。日本語で意味を確認してから聞き直すと、よくわかるようになると思います。

英語で研究発表をするなど、ご自分の専門について話す機会がある人にとっては、複雑な内容をわかりやすく説明し、聞き手に伝わる工夫をするためのお手本になりそうですね。


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学び方を学ぶ | バーバラ・オークリー | TEDxOaklandUniversity

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Mai Ohta

工学部の教授バーバラ・オークリーは自らの体験から、数学に苦労する感覚を知っています。彼女は高校の数学や理科では赤点を繰り返し、卒業後すぐに米陸軍に入隊しました。軍隊で昇進するにしろ他のキャリアを探すにしろ、数学の能力やテクノロジーへの理解が欠けているせいで、選択肢が大いに狭められていることに気づいた彼女は、新たな決意を胸に学問の世界へ戻ります。自分がずっと悩まされてきた、まさにその課題を極めるため、自分の脳を鍛え直すことにしたのです。

(2016/5/8 字幕公開)

#80. 文法なんて、どうでもいい? — アンドレア・S・カルード



翻訳ウラ話


私は英文法についてアメリカで学んだため、文法用語のほとんどを英語で知りました。今回、日本語の訳語をひとつひとつ確認し、文法用語を英語で学んだのはラッキーだったなと思いました。日本語の文法用語はピンと来ないものが多いと感じたからです。たとえば、話し手・書き手の気持ちや態度を指す"mood"は、日本語では「法」と呼ぶようなのですが、少なくとも私にはわかりにくいと思われました。字幕では「ムード」を使っています。



英語学習のヒント


英語を学習する人のうち、文法が苦手な人や、「なんで文法やるの?」という疑問を持つ人にぜひ見ていただきたい内容です。英語もやさしくわかりやすいので、英語字幕を使って聞き取りの練習をしてもいいかもしれません。

KECでは、受講のプロセスとして真っ先に会話をしていただき、そこから文法を含む様々な課題を発見し、その課題に基づいて学習計画を立てていきます。文法というと書き言葉のイメージが強いかもしれませんが、ビデオで説明されているとおり、書き言葉・話し言葉のどちらであろうと、文法は決して「どうでもいい」ものではありません。

会話と文法についてご興味のある方はこちらの記事もどうぞ。


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文法なんて、どうでもいい? — アンドレア・S・カルード

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Riaki Poništ

書き言葉の基準となる文法的なルールのすべてを、話す時にも覚えておくのは大変ですよね。「犬と私」と言う場合、どんな時は「the dog and me」が正しく、どんな時は「the dog and I」とすべきなのでしょう? 実際のところ、どうでもいいのではないのでしょうか? 言語学において、規範主義と記述主義の文法観は大きく異なります。両者の間で長年交わされてきた議論に、アンドレア・S・カルードが飛び込みます。

(2016/5/8 字幕公開)

2016/08/05

#85. ブライアン・リトル: 自分はいったい何者なのか―性格の謎を解き明かす & #86. ある情熱的な内向型人間の告白




翻訳ウラ話


2014年TEDxと2016年TEDでの講演。よく似た内容だったので、同じペアで2本を行き来して翻訳しました。訳として統一すべきところはしながら、それぞれに翻訳者の個性を残してもいるので、2つの翻訳を見比べるとおもしろい発見があるかもしれません。


英語学習のヒント


英語学習の教材には向かないTalkです。字幕なしで聞き取れる上級者でも、内容をすべて理解するのは厳しいでしょう。英語字幕を見てもあまり助けになりません。誰にでもわかる話し方を選んでいないのには理由があり、それ自体が講演内容の伏線になっていると考えられます。もちろん、講演者本人の立場や聴衆への敬意の表れでもあります。

この講演を知ったのは、あるオンライン教育の研究者との議論がきっかけでした。オンライン教育を含む昨今の”ソーシャル”な教育が前提としているかもしれない、extrovertな学習者・教育者像に対する懸念を共有しました。これは日本の英語教育において時々気になる点でもあります。特に英語の会話指導では、まるで上達のためにはextrovertになるのが必須のような雰囲気があり、一部には「英語を話す際には”演じる”のが当然」と思われている節もあります。ブライアン・リトルの言う「コア・プロジェクト」の考えに賛同しつつ、KECでは学習者が自分らしさを失うことなく言語を使い、本来の自分をよりよく表現するという方向で言語学習を進めていってもらいたいと考えています。

”ソーシャル”な教育と外向性・内向性について興味のある方はこちらの記事もどうぞ。


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ブライアン・リトル: 自分はいったい何者なのか―性格の謎を解き明かす (2016)

Japanese translation by Riaki Poništ, reviewed by Emi Kamiya

自分を自分たらしめるものとは何か。心理学者はなにかと、人の特性や、その人を特徴づける性質を定義したものを持ち出します。しかしブライアン・リトルが注目するのは、文化として求められる場合や、自らそうせざるを得ない場合も含め、人がこういった特性を超えて振る舞うケースです。このトークでは、リトル博士が内向型人間と外向型人間の違いに切り込み、人の性格は自分で思っているよりも変幻自在なものであると言えるのはなぜかを解説します。
(2016/8/5 字幕公開)


ある情熱的な内向型人間の告白 | ブライアン・リトル | TEDxOxbridge (2014)

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Riaki Poništ

ブライアン・リトルが面白おかしく語る、この楽しいトークでは、私たちの日常に登場する内向型人間と外向型人間に目を向けます。なぜ人は柄にもないキャラを演じることがあるのか、それに対して何ができるのか、考えさせられるでしょう。
(2016/8/5 字幕公開)

2016/05/24

#82. 何でも抜群に上手くなるには? リーダーシップにも使えるコツ | ターシャ・ユーリック | TEDxMileHigh



翻訳ウラ話


今回訳に迷ったのはタイトルにもある"be awesome at"です。意味としては、皆さんよくご存じの"be good at"の「もっとすごい版」ということで、このスピーカーのキャラクターによく合った表現ですが、それを日本語で表すのは簡単ではありません。どう工夫したかは、字幕でご確認ください。


英語学習のヒント


この"awesome"のような語を私は「褒め系」と呼んでいますが、英語にはこうした形容詞が日本語よりも豊富にあります。たとえば日本語の「素晴らしい」は英語では何通りにも表現できます。


「褒め系形容詞」の学習に、Talkで紹介されている「3ステップ」を応用してみましょう。たとえば、①「褒め系形容詞」のリストを作り、自分はどれが使えていて、どれが使えていないかチェック、②使っていない表現の中から1つだけを選んで③「今日はこの表現を使うぞ」と決め、口をついて出てくるまで練習する、などです。


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何でも抜群に上手くなるには? リーダーシップにも使えるコツ | ターシャ・ユーリック | TEDxMileHigh

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Riaki Poništ

リーダーシップは学んで身につくものでしょうか、それとも生まれつきのものでしょうか? 卓越したリーダーを目指すために限らず、あなたが上手くなりたいことなら何でも、抜群に上達するための処方箋がここにあります。

(2016/5/24 字幕公開)