翻訳ウラ話
なんといっても悩ましかったのはタイトルです。「The art of ~ing」というのは英語としては馴染みのある表現で、タイトルとしても収まりが良いのですが、調べてみるとこれという日本語訳がなく、それぞれ苦心して訳されていることがわかりました。さらに「ask」も意外と難しいのです。というわけで、講演内容を踏まえて、担当者間でいくつかの案を出しあい、「このくらいかなぁ」というところで落ち着かせることにしました。
また、口調を訳に反映させるのにも工夫が必要でした。堅苦しい話し方を避けるのはもちろんですが、あまりに崩しすぎたり、ステレオタイプな「おねえちゃん口調」にしたりするのも相応しくありません。彼女の雰囲気のすべてを日本語に載せることは無理にせよ、とんがった感じ、かわいらしさ、繊細さ、賢さが少しでも表せていれば幸いです。
英語学習のヒント
英語自体は複雑ではなく、短い文が重ねてある効果もあるので、たとえば英語字幕をオンにして視聴するとさほど難しくないことがわかるでしょう。内容理解の面では、指示語や代名詞が何を指しているのか捉えにくいところがあります。日本語字幕ではその点についてできるだけ補足していますので、参考にしてください。
音声的には語尾の上がり具合が気になったり、やや早口と感じる人もいるかもしれませんが、少なくとも私は話し方として特別な印象は受けていません。この世代のアメリカ人と話すことに慣れている人なら、むしろ聞きやすいと感じるのではないでしょうか。
音楽用語に興味がある人は、英語トランスクリプトから、関連する語を拾って日本語でなんと言うか、考えてみてください。'a last-minute, spontaneous gig'や'crowdsurf'、'torrenting'のようなちょっと耳慣れない語も、立ち止まって考えてみるときっと意外な発見がありますよ。
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アマンダ・パーマー 「“お願い” するということ」
音楽にお金を出させるのではなく、払いたい人が払えるようにしてあげればいいんだとアマンダ・パーマーは言います。「2メートル半の花嫁 (!)」として帽子にお金を集めていたストリート・パフォーマー時代で始まる情熱的な語りを通して、彼女はアーティストとファンの新しい関係を考察しています。
(2013/3/24 字幕公開)
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