2016/09/05

#14. レズリー・ヘイズルトン: 疑いは、信仰の本質



翻訳ウラ話


TED翻訳の魅力の1つに、よく知らない分野をちょっとだけ覗き見して、賢くなったような気になれる、というのがあります。講演を聞き、文字で読み、周辺情報や関連記事に目を通しながら訳し、字幕公開までに何度も内容をなぞるおかげです。この作品を訳すにあたり、講演の中で紹介されている物語や、固有名詞のカタカナ表記など、知らなかったことがたくさんあって勉強になりました。講演者の深みのあるきっぱりとした口調や、表現の豊かさ、語り手としての技術の高さをなんとか訳に反映できるよう気を配りました。



英語学習のヒント


英語学習の教材としては、少なくともそのままでは使いにくいでしょう。たとえば字幕なしで“浴びる”式に流して見るだけでは、ほとんど頭に残らないのではないでしょうか。背景の宗教的な知識がないと、内容理解も厳しいです。日本語字幕をオンにして視聴し、場面を想像して文学的な美しさを味わい、力強いメッセージを受け止めるだけに留めておいても良いと思います。

あえて英語学習用にしたいという人は、たとえば語彙に絞ってみてはどうでしょう。辞書を丁寧に引いて、意味や発音を確認しながら、①発信(書く・話す)で使えるようにする、②受信(読む・聞く)の際に意味がわかればOK、③今回限りで忘れちゃってもOK、と3段階に分けて整理してみましょう。この講演には手強い語がたくさん使われていますが、キーワードとして出てくる"faith"や"essential"などの基本的な語も、試しにきちんと辞書を引いてみると、意外と奥が深いと思うかもしれませんよ。


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レズリー・ヘイズルトン: 疑いは、信仰の本質

Japanese translation by Yuriko Nakamura, reviewed by Emi Kamiya

レズリー・ヘイズルトンは、イスラム教預言者ムハンマドの伝記を書いているとき、あることに衝撃を受けました。古い記述によれば、コーランの啓示を受けた夜、彼は初めに疑い、畏怖、恐怖さえも持ったというのです。そしてこの経験こそが彼の信仰の基盤となりました。ヘイズルトンは信仰の土台としての疑いと問いに対する新たな見解を提唱し、あらゆる宗教の原理主義の終結を呼びかけています。

(2013/8/28 字幕公開)

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