2016/09/22

#29. ステラ・ヤング: 私は皆さんの感動の対象ではありません、どうぞよろしく



翻訳ウラ話


パラリンピックの開催時期とも重なり、奇しくも日本では最近になって「感動ポルノ」についての議論が起きているようですね。その流れでこの講演を初めて聞いたという人もいるかもしれません。講演者は日本語字幕公開の約5ヶ月後、2014年12月に亡くなりましたが、彼女のメッセージが今日改めて注目を集めているというのは素晴らしいことだと思います。

TEDにはコメディアンが登壇することがたびたびありますが、彼らのレトリックやニュアンス、皮肉やジョーク、遊びの部分を日本語に訳すのは本当に難しいです。きちんと訳してつまらなくしてもダメだし、狙いすぎて寒いことになるのも残念です。文化の違いも大いに関係しますので、個人的には少し物足りない「8分目」ぐらいの訳だとちょうどいいのかなと思っています。



英語学習のヒント


さすが話術のプロだけあって、発音は明瞭でテンポが良く、話の運び方やメリハリの付け方が見事です。文は短く語も難しくありませんので、まずは字幕をオフにして視聴してみてください。オーストラリア英語独特の特徴が母音などに見られますので、聞き慣れていないと戸惑いますが、頭の中でスペルを思い浮かべると解決するのではないでしょうか。解決しない箇所は英語字幕をオンにして確認してください。

3:00あたりで、英語の大文字についてチラッと触れる箇所があります。これは「"polish" と "Polish"」など(Capitonym:参照)のように辞書を引けばわかる話ではありません。感覚的なところなので、説明が難しく、ある程度英語を使い慣れないとつかみにくい部分です。「大文字と小文字で違いがあるんだな」ということを頭の片隅に置いておくと、いずれどこかで出会ったときにピンとくるでしょう。意欲のある学習者はこちらの記事などを読んでみてください。


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ステラ・ヤング: 私は皆さんの感動の対象ではありません、どうぞよろしく

Japanese translation by Mari Arimitsu, reviewed by Emi Kamiya

コメディアンでジャーナリストのステラ・ヤングは、たまたま車椅子で生活をしています。ヤングが強調したいのは、この事実だけでヤングが全人類を感化するような気高い存在になるわけではないと言うことです。この面白い講演で、ヤングは私たちの社会が障害者を「感動ポルノ」にしてしまう風潮を批判します。

(2014/7/18 字幕公開)

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