2016/08/27

#10. キース・チェン:言語が貯蓄能力に与える影響



翻訳ウラ話


言語と貯蓄率を結びつけるという発想がおもしろいと思い、翻訳してみました。英語に比べ、日本語では一般的な語と専門用語をくっきり分ける傾向があるので、「経済用語かな?」と思われる語は友人の日本人経済学者に確認しながら訳を完成させました。この作品に限らず、私が「専門用語かも」と思って専門家に尋ねると、一般的な語と同じ使われ方で、返ってきた回答は“普通”の訳…ということがよくあります。訳語の確認は辞書やネット検索などでおこないますが、“普通”の訳は専門用語ほど簡単に調べがつかないので、慎重にならざるを得ないのです。英語から日本語へ用語を取り入れる方法には、「特別な訳語を作って専門用語化する」「一般的な訳を当てる」「カタカナにする」などの選択がありますが、そのパターンは分野ごとに偏りがあるような気がします。



英語学習のヒント


講演者は英語と中国語のバイリンガルで、経済学の若手プロフェッサーです。きびきびした口調、テンポが良くやや早口で、畳みかけるように進むプレゼンテーションは、ビジネス系の分野ではお馴染みの特徴ではないでしょうか。ビジネス系で大学院への留学などを目指す学習者は、字幕がなくても内容が理解できるよう、この講演をトレーニングに利用しましょう。一方、日本国内での趣味の英会話はもちろん、いわゆる語学留学程度を予定している学習者は、聞き取れなくても気にしないことです。無理せず、日本語字幕で内容をつかんでください。

TEDのページに寄せられている、この講演に対しての視聴者からのたくさんのコメントは、批判的思考の練習に使えそうです。言語、統計の面で、それぞれどんなツッコミがなされているかまとめてみましょう。グループでの協働学習が可能なら、投稿されているコメントの妥当性を話しあったり、自分たちでコメントを書いて評価しあったりするのも良いでしょう。


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キース・チェン:言語が貯蓄能力に与える影響

Japanese translation by Tomomi Anzai, reviewed by Emi Kamiya

経済学者が言語学の分野から学べることとは?行動経済学者キース・チェンが自身の研究から見出した興味深いパターンを紹介します。未来の概念のない言語("It will rain tomorrow" ではなく "It rain tomorrow" が許容される言語)と高い貯蓄率の間には強い相関関係があるのです。

(2013/5/9 字幕公開)

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