2016/08/27

#12. スガタ・ミトラ「クラウド上に学校を」



翻訳ウラ話


勝手に“3部作”と呼んでいた「教育の未来」シリーズの第3弾。この年のTED Prizeを受賞した講演です。「教える」よりも「自然に学びたくなるような環境を作る」という考えが私の好みに合っています。

第1弾 第2弾

英語学習のヒント


講演者はインド出身で、イングランドの大学教授です。話し方はゆっくりですが、独特のアクセントに慣れていないと聞き取りにくいと感じるかもしれません。このタイプの英語に慣れたい学習者は、まずは字幕なしで聞いてみましょう。次に、英語字幕をオンにして音声を聞きながら文字を目で追います。英語そのものは難しくなく、むしろ易しいことに気づくでしょう。最後に字幕をオフにして、もう一度ビデオを見てみます。最初より聞き取りやすくなっているのではないでしょうか。最初は聞こえなかったのに聞こえるようになった部分をメモしておくと、自分の聞き取りにくいパターンが見えてくるかもしれません。


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スガタ・ミトラ「クラウド上に学校を」

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Tadashi Koyama

2013年のTED賞受賞にあたり、スガタ・ミトラは大胆にもこう言いました。「“クラウド上の学校”という学習実験室をインドに作りたいと思っています。子どもたち同士が協力して自由に調査したり学習したりできる場所です。学習に必要な物質的、人的支援はクラウド上にあるものを利用します」。自己学習環境 SOLE について、彼の刺激的なビジョンが語られます。受賞の内容は tedprize.org をご覧ください。

(2013/5/27 字幕公開)

#11. リタ・ピアソン「すべての子どもに強い味方を」



翻訳ウラ話


独特のテンポとユーモアで会場の人々の心をグッとつかみ、教育者としてたっぷりの愛情をバンバン投げつけてサッと去っていく姿がカッコいいと思いました。講演の勢いそのままに、訳はあっという間に出来上がりました。日本語字幕が完成し、1ヶ月あまりして飛び込んできた突然の訃報(参照)。力強い声が耳に残っていただけに、とてもショックだったのを覚えています。



英語学習のヒント


African American Vernacular English (AAVE、いわゆる黒人英語)に憧れる学習者もいますが、特別な事情がない限り、日本人学習者がこのタイプの英語をターゲットに学習を進めることはとても少ないでしょう。発音やイントネーションにはっきりした特徴があります。AAVEは文法にも特徴がありますが、この講演者は教育者ということもあり、文法としては標準的と考えて差し支えありません。

話し方を真似することはなくても、特にアメリカではこのタイプの英語に出会うことも普通にありますから、その予定がある学習者は慣れておくとよいでしょう。ビデオを再生しながらインタラクティブ・トランスクリプトを使うと、文ごとに発音が何度でも確認できて便利ですよ。イディオムなど、意味のわからない表現があったらまずは辞書を引き、見つからなければ日本語字幕を利用してください。


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リタ・ピアソン「すべての子どもに強い味方を」

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by nobuyuki umeji

40年の教師経験の中で、リタ・ピアソンにこう言った同僚がいました。「子どもを好きになる手当ては貰っていない」。それに対し彼女は「子どもは嫌いな人から学ばない」と反論します。教育者に向けて、生徒たちを信じ、生徒たちと実際に人間同士のつながりを持つ大切さを語った熱いメッセージです。

(2013/5/11 字幕公開)

#10. キース・チェン:言語が貯蓄能力に与える影響



翻訳ウラ話


言語と貯蓄率を結びつけるという発想がおもしろいと思い、翻訳してみました。英語に比べ、日本語では一般的な語と専門用語をくっきり分ける傾向があるので、「経済用語かな?」と思われる語は友人の日本人経済学者に確認しながら訳を完成させました。この作品に限らず、私が「専門用語かも」と思って専門家に尋ねると、一般的な語と同じ使われ方で、返ってきた回答は“普通”の訳…ということがよくあります。訳語の確認は辞書やネット検索などでおこないますが、“普通”の訳は専門用語ほど簡単に調べがつかないので、慎重にならざるを得ないのです。英語から日本語へ用語を取り入れる方法には、「特別な訳語を作って専門用語化する」「一般的な訳を当てる」「カタカナにする」などの選択がありますが、そのパターンは分野ごとに偏りがあるような気がします。



英語学習のヒント


講演者は英語と中国語のバイリンガルで、経済学の若手プロフェッサーです。きびきびした口調、テンポが良くやや早口で、畳みかけるように進むプレゼンテーションは、ビジネス系の分野ではお馴染みの特徴ではないでしょうか。ビジネス系で大学院への留学などを目指す学習者は、字幕がなくても内容が理解できるよう、この講演をトレーニングに利用しましょう。一方、日本国内での趣味の英会話はもちろん、いわゆる語学留学程度を予定している学習者は、聞き取れなくても気にしないことです。無理せず、日本語字幕で内容をつかんでください。

TEDのページに寄せられている、この講演に対しての視聴者からのたくさんのコメントは、批判的思考の練習に使えそうです。言語、統計の面で、それぞれどんなツッコミがなされているかまとめてみましょう。グループでの協働学習が可能なら、投稿されているコメントの妥当性を話しあったり、自分たちでコメントを書いて評価しあったりするのも良いでしょう。


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キース・チェン:言語が貯蓄能力に与える影響

Japanese translation by Tomomi Anzai, reviewed by Emi Kamiya

経済学者が言語学の分野から学べることとは?行動経済学者キース・チェンが自身の研究から見出した興味深いパターンを紹介します。未来の概念のない言語("It will rain tomorrow" ではなく "It rain tomorrow" が許容される言語)と高い貯蓄率の間には強い相関関係があるのです。

(2013/5/9 字幕公開)

2016/08/26

#9. BLACK 「ヨーヨーの達人への道」



翻訳ウラ話


日本人の講演ということで、「こう言おうとしてるんだろうな」というのが痛いほど伝わってくるのですが、あまり補い過ぎないように気をつけて訳しました。字幕公開後、ご本人から「まさに言いたかったとおりに訳されていて、本当に嬉しい」というメッセージをいただいたときには、心底ホッとしました。



英語学習のヒント


英語の母語話者でも、ネイティブ並みの英語力をもつ人でも、TEDのメインステージに立つというのは大変なことです。TEDキュレーターのクリス・アンダーソンが最近、TEDトークの指針を紹介しましたが(参照)、もっとも重要なアイディアの伝達に加えて、「日本人でもこんな堂々としたスピーチができる」という姿が示されていることは、学習者の励みになるのではないでしょうか。

英語はきちんと用意されており、何度も練習したであろうことが伝わってきます。自信がないと、どうしても小声になったりごまかしたりしたくなりますが、実はそのせいでより伝わりにくくなり、また自信を失うという悪循環を招きます。聞き手に敬意を払い、相手の目を見て、文末まではっきり言う。そういう誠意が感じられると、聴衆はちゃんと応えてくれるものです。

同じ日本人学習者として、日本人の話す英語を聞く際の姿勢にも注意しましょう。アラ探しより良いところを見つけ、学ぶべきところを盗んだ方が、上達に近づきますよ。


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BLACK 「ヨーヨーの達人への道」

Japanese translation by Yasushi Aoki, reviewed by Emi Kamiya

ヨーヨーをただ回らせるだけでも四苦八苦していた日を覚えていますか? うまい人なら「犬の散歩」もできたかもしれませんね。でも、あなたはまだ本当のヨーヨーを知りません。日本から来たヨーヨー世界チャンピオンのBLACKが、人生の情熱を見出した心に響く話とともに、息をのむパフォーマンスをお目にかけます。これを見たら、引き出しの奥からまたヨーヨーを引っ張り出そうという気になるかもしれません。

(2013/4/25 字幕公開)

2016/08/25

#8. アンドレア・シュライヒャー 「データに基づく学校改革」



翻訳ウラ話


偶然同じ時期に私が携わることになった「教育の未来」がテーマの講演、第2弾です。講演者は日本でもよく知られる教育指標事業PISA (Programme for International Student Assessment)(参照)の責任者。ドイツ人が語る、教育統計の国際比較です。切り口はずいぶん違いますが、第1弾との共通点がかなりあります。



英語学習のヒント


ヨーロッパ人の英語に慣れていないと、聞き取りにくいと感じるかもしれません。アクセントや文末の処理の仕方が、日本のリスニング教材等で聞く英語とは違うからです。表情も豊かとは言いがたいので、ちょっと怖いと感じる人もいるでしょうか。文化の違いもありますが、私はこの講演者の口調や表情が、講演の内容や説明の仕方によく合っていて、説得力を増しているように思います。日本人向けのスピーチ練習はアメリカをお手本にしているものが多いですが、世界にはこういうやり方もあるということで、参考にしてください。

教育の研究や統計に馴染みがないと、語彙や内容理解の面でちょっと厳しいかもしれません。無理せず日本語字幕を利用して、内容がわかってから英語に移ることをお勧めします。

こうした統計報告は大きな関心を集める一方、どうしても物議を醸すものです。TEDのページには視聴者からたくさんのコメントが寄せられています。いくつか読んでから、自分だったらどんなコメントを残すか考え、1パラグラフ書いてみましょう。


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アンドレア・シュライヒャー 「データに基づく学校改革」

Japanese translation by Kazunori Akashi, reviewed by Emi Kamiya

教育システムが機能する要因を捉える方法はあるでしょうか。アンドレア・シュライヒャーが紹介するのは、世界規模の学力テストPISAです。このテストでは各国の順位が示されるだけでなく、データをよりよい学校づくりのために活用することができるのです。自分が住む国や地域の順位を見ながら、優れた成績をあげる要因について学びましょう。

(2013/4/23 字幕公開)

#7. 「遊びから情熱、そして目的へ」 トニー・ワグナー (TEDxNYED)



翻訳ウラ話


教育の研究をする者として、私は日本を含む世界の国々の教育がどういう問題を抱え、どう改善し、どう報告されているかに大いに関心があります。当時、偶然にも「教育の未来」をテーマにした講演の翻訳が立て続けに私のところへ来たので、勝手に「3部作」と呼んでいました。これはその第1弾、アメリカ人がアメリカの教育の問題点を語る編です。



英語学習のヒント


さすが学校の先生という感じで、明瞭な発音、緩急や抑揚のついた聞き取りやすい英語です。話すスピードはやや速めですが、そのせいもあって話のテンポがよく、ユーモアを交えて聞き手を飽きさせません。文としても短めでシンプルな構成のものが多いので、理解しやすいでしょう。あいにくTEDxの講演には公式のトランスクリプトがついていませんが、ネット上を探すと見つかるかもしれませんので読んでみてください。また、この講演者が同じテーマを論じた本や記事は、リーディングや要約の練習に使えます。たとえばこちらの記事は特に有名なものですが、講演を聞いてから読むと内容がよくわかると思います。

一通り内容がつかめたら、英語字幕をオンにして、文字で確認してみましょう。語彙は全体的に平易ですが、ところどころ見慣れない語やイディオムが使われているのに気づくのではないでしょうか。さて、そこから? それがこの講演のテーマですよね。


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「遊びから情熱、そして目的へ」 トニー・ワグナー (TEDxNYED)

Japanese translation by Chieko Tamakawa, reviewed by Emi Kamiya

トニー・ワグナー氏は最近、ハーバード大学のテクノロジー&起業センターの初代革新教育フェローに就任しました。彼は国の内外を問わず学校や教育区、財団を対象に幅広く助言を与えています。

(2013/4/21 字幕公開)