翻訳ウラ話
私はコーチで研究者で学生でもあるので、日々、交渉や提案や相談をしたり、されたりすることが多いです。状況や相手によって自分の発言の自由度が変化することや、そこに力関係が働いていることを感じていたので、この講演を最初に聞いたときには内容がすんなり理解できたように思いました。ところが、翻訳作業に入り一言一句を細かく見ていくと、すっきりしない箇所がちらほら出てきました。感覚的な言葉遣いは魅力的なのですが、残念ながら翻訳する場合、よくわからないまま聞き流すわけにはいきません。その意味では、訳すという行為は無粋なものですね。担当者間で解釈をすり合わせたり、講演者本人に確認をとったりしました。
英語学習のヒント
上述のとおり、この講演者の英語はサラッと聞いたときと、細部までじっくり読み込んだときとで印象が変わります。違いが感じられるかどうか試してみてください。まずは字幕オフで視聴し、その後英語トランスクリプトを読みます。わかったようなわからないような箇所があったら、すぐに訳を見るのではなく、トランスクリプトの該当箇所をクリックして音声を聞いてみてください。「読んでもわからなかったけど、聞いたらなんとなくわかった」という意外な体験ができるかもしれませんよ。自分なりの解釈が合っていたかどうか、最後に日本語訳で確かめることをお忘れなく。
語彙は比較的平易で、構文も全体的にシンプルです。知らない語があったらきちんと辞書で調べ、使えるようにしておいてください。イディオム"step on someone's toes"や、"speak up (for oneself)"、"advocate for"、"put up"、"turn out"、"lean in"などの句動詞の意味と使われ方をしっかり押さえておきましょう。また、"they grant me..."、"it allows us..."のような表現は、多くの学習者にとって、知っていてもなかなか咄嗟には使えないものです。この機会に使い方を盗んでおきましょう。
--------------------------------
アダム・ガリンスキー: はっきり主張できるようになるには
はっきり考えを述べることは、そうすべき時でも難しいものです。社会心理学者アダム・ガリンスキーの賢明な助言から、意見をはっきりと述べ、難しい状況もくぐり抜け、自分自身の力を強化する方法を学びましょう。
(2017/1/29 字幕公開)