2016/05/28

#81. メアリー・ノリス: ニューヨーカー誌が誇るカンマ・クイーンの重箱の隅をつつく栄光



翻訳ウラ話


内容はシンプルだけどレトリックや語彙の選択が高度、という翻訳者泣かせの作品です。担当者間で何度もやりとりをして議論を重ね、字幕特有の制限内でできるだけの工夫を散りばめました。視聴者のみなさんが違和感なくご覧になり、私たち字幕作成者が”invisible” になっていれば本望です。

途中、事実確認のため講演者本人に問い合わせをしたのですが、いただいたお返事はすっきりと無駄がなく、読み手に近づきすぎず、書き手の余裕を感じさせる文章でした。プロ歌手の鼻歌を聞いたときに似た感動を覚えました。


英語学習のヒント


文法やスペルの話題は英語学習者の興味を引きますが、ESL/EFL学習には向かないタイプのTalkでしょう。肩肘を張らずさらっと聞いて、「アメリカ人もそうなのね」と思うぐらいで良いんじゃないでしょうか。一方、The New Yorker を読んで楽しめるぐらいの力がある人は、TED.com上のTranscript をじっくり読んで、文芸的、文化的なおもしろさを味わってみてください。


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メアリー・ノリス: ニューヨーカー誌が誇るカンマ・クイーンの重箱の隅をつつく栄光

Japanese translation by Riaki Poništ, reviewed by Emi Kamiya

有名雑誌『ザ・ニューヨーカー』での校閲の仕事は、メジャーリーグでショートを守るような役割である、と同社でこのポジションを30年以上務めてきたメアリー・ノリスは言います。つまり、どんな些細な動きでも評論家の目を逃れられないのです。校閲の厳しさで、またカンマ・マニアとしても知られてきたノリスですが、いわれのないことだとも主張します。結局は筆者の面目を守るのが目的なのですから。『ザ・ニューヨーカー』の独特な文章スタイルを、最も熟知しているノリスが魅力たっぷりに語ります。

(2016/5/28 字幕公開)

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