2016/11/06

#36. ナオミ・オレスケス: 科学者を信頼すべき理由



翻訳ウラ話


本来は科学の外にいる人向けに、科学が行っていることを解説する目的のレクチャーなのですが、立場上、いつの間にか「なぜ科学をやるのか」という聞き方をしていることに気づきました。研究者はときに自分がやっていることが何の役に立つのか、見失うものです。つい、PhD学生の間でよく知られるこちらの図解を思い出してしまいました。

訳については判断に迷うような部分はありませんでしたが、固有名詞や訳語、定訳の確認に手間がかかりました。これに限らず、分野を越えていつも思うことですが、同じモノや現象を指す用語でも、英語では一般的な語の組み合わせなどで比較的素人の想像が届きやすいのに対し、日本語では日常語と明確に隔てられていて、孤高で有標、使われ方が限定的ですね。たとえば「inductive/deductive」にしても、「帰納/演繹」よりずっと身近です。「専門用語然」としているところに、日本語の専門用語のありがたみがあるんでしょうか。



英語学習のヒント


英語そのものは複雑ではなく、口調など音声的にも学習に向かないわけではありませんが、とにかく専門用語や固有名詞が多い中で話題が次々に移っていくので、英語学習という面ではなにもこれを使わなくてもいいかな、というところです。日本語字幕をオンにして、全体の意味をつかんだうえで、気になる箇所があればそこに戻って、英語字幕やトランスクリプトでチェックする程度に留めておきましょう。スピーチのスタイルとしては、話の展開や例の出し方が上手いので、たとえばガイドや広報のように、なんらかの事柄について広く浅く説明する予定がある人にとっては参考になるかもしれません。


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ナオミ・オレスケス: 科学者を信頼すべき理由

Japanese translation by Emi Kamiya, reviewed by Misaki Sato

世界の重大な問題の多くは科学者の見解を必要としますが、なぜ私たちは科学者の言うことを信じるべきなのでしょうか。科学史の研究者であるナオミ・オレスケスは、私たちと信じることとの関係を深く考察し、科学研究に対する姿勢にまつわる3つの問題点を導き出します。さらに、私たちが科学を信頼すべき理由として、独自の根拠を示してくれます。

(2014/8/11 字幕公開)

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